えー、詳しい事は申し上げられませんが、まいったなあ、という事が起こりました。
保険上の話です。
車両保険に免責金額というものがあります。
簡単に言うと車両保険を使う(つまりは車を直す)にあたっての契約者負担金額のことです。
なぜ「免責金額」などという設定があるのか、という詳しい経緯は知りません。
おそらく「免責」という言葉からすれば、保険会社の責任範囲の減免金額という意味です。
車両保険というのはオールリスク担保という言われ方をします。言葉通り、偶然な事故でありさえすれば保険金が下ります。(ただし、その中でも出ない例もありますので、それは各自御確認ください。)
これは個人の邪推になりますが、保険会社としては安易に車両保険を使ってほしくない、ということだと思います。なぜなら、車両保険・対物保険は、自動車保険の収益率を引き下げる2大要因だからです。だから代理店のマージン計算のランク決定要素に「損害率」という欄があるのでしょう。
出来れば使ってほしくない。ならば、「個人負担の金額」という枠を設ければ無闇に請求されることもなかろう、その分、保険料も変えよう、という流れではなかったか、と思っています。
その免責金額の設定ですが、各社細かい規定の違いはあろうかと思います。
が、一般的には保険期間1年中の1回目の事故の免責金額0円、2回目以降は10万円、というところが主流になっているかと思います。まれに「オール免ゼロ」といって2回目以降も免責金額(修理自己負担金額)0円でもいいです、というところもあると思います。
以前いた会社では「オール免ゼロ」で殆どの契約を受けていましたが、今の会社では「そうそう、1年に2回目はないですよね」という事と、「そんなに事故ばかりやることを心配するお客さんは困ります」くらいのことを言われました。内緒の文書(なのかな?)で「契約引き受け時の推奨内容」というか、「社員照会案件となる契約引き受け基準」というのがあります。そこでもやはり、推奨される免責金額の設定条件は「0-10」です。
まいったなあ、というお客さんは、ついこの間バンパーを修理されました。自損事故もOKな「一般条件」というタイプの車両保険を契約されています。
保険料は会社で負担しているので、来年保険料が上がるのはかまわないという話でした。つまりここで1度、保険を使っています。
で、
先週の金曜日だったか、また、この方から電話がありました。「フロントガラスに石が当たりガラスが割れた」。もちろん、これは保険で修理できる事故です。しかも運転手の過失に因らない事故なので「ノーカウント事故」といわれ、翌年の等級が下がらない事故です。
ただ、事故件数にカウントされないだけで、今回は契約年内における2回目の事故になります。つまり免責金額、つまり修理金額の自己負担分が発生します。結論をいうと「タダでは直らない」という事です(これも会社で出してくれるのならともかく)。ちなみに会社の業務に使用している車の修理費なら経費(修繕費)で落ちると思います。
「等級は下がらないが、自己負担金額が発生する事になる」とはすぐに言いました。一応この場ではそれで収まりました。
ところが今日、また電話があったのです。先ずは「ガラスのヒビが大きくなった」との事です。これも先日の電話で、その可能性は伝えてありました。次に「会社に来ている保険屋が、ガラスの飛び石ならば、保険で出るはず。しかも事故とカウントされない」と言っている、と言ってきました。「何で自分で払う分が出るんだ?」と言うわけです。
で、ここが問題なのですが、「保険で修理代がでる。しかも事故とはカウントされない事故である。」=「保険で全て修理代が出る」という解釈になり、自分に非常に都合の良い部分しか耳と頭の中に残っていない点です。
事故にカウントされず、翌年の割引等級は下がらない、ということと、事故回数による免責金額は別、という事が理解できないのですね。
なおかつ、「あんたと付き合いも長いから契約内容に関しては任せたはずだ。しかも、このクルマは仕事で使うから何でも保険金が出るようにしておいてくれ、といったはずなのに、そうなっていないのはどういうわけだ?」とまでなりました。
あげくには、お決まりのコースではありますが、「もうアンタのトコとは付き合うのを止める。保険は全部見直して他に切り替える。」という事を言ってきました。まあ、いいんですけどね。おそらく他に行っても同じ事を繰り返すだけでしょうから。
という事があったのです。
実際にこの先、この人とどうなるかわかりませんが、一つ保険会社にお願いがあります。
保険会社の人間は当然、自動車保険に限らず保険の内容はおおよそ理解しているものと思います。ただ、その解釈と理解を一般人にも同じように求めているきらいはあるように思います。
しかも、保険会社社員は一般の方と接触することはまれで、殆どが保険代理店等の関係者へとの接触が殆どです。つまり一般人の理解のレベルというものを肌ではご存じないのでは?と思うのです。
保険料区分の細分化は、契約者にとって保険料の減少というメリットをもたらしたとは思います。が、反面、わかりにくい保険契約の内容を、更にわかりにくくしているという部分はあると思います。
不勉強な代理店というのも現実には相当数存在しますから、それが昨今の保険料の貰いすぎや担保割れを引き起こした大きな要因であるのは否定できない事実でしょう。
保険数理は厳密な危険率の計算に基づいている、という理屈はわかるのですが、その「危険率の区分」という理解を、そのまま契約者に求めているかに見える契約方式が多いような気がします。細則も多いし。契約内容について質問されても、危なくてその場で即答できない事例も多いです。保険会社が、公正取引委員会の排除命令(「紛らわしい表記」で)を受ける例もあることですし。
司馬遼太郎の小説の中には「頭の回転がよすぎて、他の人間が馬鹿に見えて仕方がない」という人物が多数登場しますが、もう少し理解しやすい契約体系というものを考える時期が来ているような気がしてなりません。細かい字を読みたくない高齢者も増えてきていますし、何より、あの方達は頑固なことが多いのですし。
2 件のコメント:
なるほど。
免責は、保険会社の支払いが何回目になるかで決まってくる訳ですね。修理費の支払い責任は保険会社にあって、免責とはその保険会社の支払い責任が(一定金額)免除されるということなんですよね。
一方、事故回数にカウントするかどうかは、翌年の保険等級にかかわってくることで、別問題ということですよね。
ただ、分かりにくいのは確かです。
しかし、このケースを複雑にしたのは、事情を良く知らない第3者が口を出したことでしょうね、タダでなおるって。
我々の世界にもたまにありますよ、無責任な第3者(それも同じ業界の人)が口を挟んで、厄介な自体になるってこと。
コメントありがとうございます。
あれから色々考えたんですが、つまるところ色々と動きすぎてあげたのが却ってアダになっちゃっているかな、と思っています。それが普通だと思って、舐められちゃってるのかな、と。なんか子育てみたいで難しいですね。かわいがりすぎるとわがまま(言葉は悪いですが)になる、というのか。
こちらとしては、お客さんの負担が少なくなるように、余計な気遣いが一つでも減るように、と思っているのですが。
みなさん、それぞれの分野でうまく立ち回っていらっしゃるとは思うんですが、専門家(というか私の守備範囲内の分野)からすると「ああ、またやられちゃってるよ」というパターンが後を絶たないのが現実なのですが。今回のように第三者が口を挟んで、それがまた聞き心地がいい言葉だったりすると
それがよくなっちゃうんでしょうね。
正直、この方を含めた周囲の関係者の契約が抜け落ちると、こちらとしても非常に痛いです。数字上。ですが、このままずるずるいくのもどうか、という事もありますし、自分としても、この仕事にはプライドを持ってやっているつもりです。自分のやってきたことの意味がご理解いただけないのであれば、もう結構です、という気持ちもあります。
営業という仕事は、時と場合によっては「オレの靴を舐めろ」という言葉に従わざるを得ない、とはよくいわれるところではあります。ただ、幾らこの方とは付き合いが長かろうが、そこまで米搗きバッタになるつもりは毛頭ありません。何のために一人になったのか、ということですよね。
なので、次回、言うべきことは言い、それでも理解が進まないのであれば、もう、こちらからこれ以上の付き合いは断わろう、という気持ちになっています。
2/2発行の週間ダイヤモンドで「保険のムダ総点検」という特集がされていました。そこにでている文章の中で「昔はお願いして代理店になってもらっていたが、今はお願いして代理店を辞めてもらっている」という箇所があります。本当にそんなモンで、びっくりするくらい低レベルな代理店が相当数います。商品知識がない、業務意識が低い、改善意欲もない。本当にイイノカナ、と心配になっちゃうようなところ。
先のクチを挟んだ代理店といのも、例の方の勤め先の従業員の人数をごまかして(3分の1くらいの人数)傷害保険を契約しているということは耳にしているので、何事もなければいいんですけどね。
コメントを投稿