ボディーコーティングのお問い合わせがありました。
何でも某「超後退」で施工しているガラスコーティングが一番良いというふうに書いてあるが、どんなものか?というお問い合わせでした。個人的にも何度かコーティングと称するものを自身のクルマに施工してもらったこともありますし、現在は表面の磨きは自分でこなしていますので、ある程度は知っているつもりですが。ただ、特定店でやっているコーティングが.....、と言われてもその施工例を知らないし、自身で試した訳でも無いので「まあ、こういう性質のものですよ」以上のことは言えないのですが。
結論から言うと最近の生産車であれば、正直コーティングの類いは必要無いのではないか、と思っています。自分の基本スタンスは「本当にクルマにとっていい事なのか?」というものですが、塗装膜が、殊ここまで強靭になってきている以上、その塗装膜にとって良いものとも悪いものとも判然としないものを被せるよりは、塗装膜にとっては何もしないほうが良いのではないか?という気はしています。
基本的に自動車の塗装は言われるほど弱くはありません。ここのところのクルマはソリッド色であろうがメタリック色であろうが基本的にクリアー層を上塗りしてくるようになってきています。そしてそのクリアー層には当然のようにUVカット成分が含まれています。
このため、以前のような退色は飛躍的に少なくなってきました。それでも劣化しているクルマはあると言われそうですが、それは手をかけすぎた(磨きすぎ・洗いすぎ等)車であったりヘタな補修をされたクルマであったり。その他には色の顔料そのものが元々弱い、退色しやすい、という根本の原因だったりすることがほとんどです。それ以外にもともと塗装自体に工数を掛けていないらしい車もある、なんてこともあるようですけどね。
センチュリーのように5回塗り(ファイブコート・ファイブベーク)の車などは途中の中塗り工程時にいちいち手作業による塗装面の磨き(耐水ペーパーによる)工程が入りますから、いくらライン塗装とはいえその仕上りは柚子肌も分からないくらいにつるつるのピカピカでしょうが、普通のクルマは2コート2ベーク(2回塗って2回焼く、下塗り1回の仕上塗装1回)、もしくは3コート2ベーク(2回+クリアー層を塗って2回焼く)と言った程度ですから、よーく見れば塗装面にはうっすらと柚子の実の表面のように凸凹があります。
綺麗な塗装面を実現する為には表面を平滑にして光の反射を均一・一定にすればいいのは御存知のとおりです。クリアー層を載せるだけでも表面の凹凸に透明な樹脂層が入りますからより綺麗に見えます。
コーティング作業では普通、以下の工程を踏みます。まず水洗い→ピッチ・タール、鉄粉取り→コンパウンド研磨→1回目の施工→研磨→仕上げの施工→最終仕上げ研磨と言った感じです。つまりは汚れを取るという作業以外は基本的に表面の平滑度を上げる作業といっても良いかもしれません。
ガラスコーティングでは液剤が主剤と硬化剤に分かれており、この2つを混ぜ合わせてから表面に塗る
といった作業になります。まあ、言ってみればウレタン塗装のクリアーを手塗りで塗りこんでいるようなものなのでしょう。一度混ぜちゃうと一瓶全部固まっちゃうということですしね。このためガラスコーティングの場合はよほどの請求金額のものでも無い限り2回目の仕上げ施工の工程は無いでしょう。多分。
ピカピカに磨き上げ、柚子肌を薄くした表面にポリマー(高分子状態の膜)を塗ったり、高度のあるクリアー層を被せたりするわけです。
なかには100%石英ガラスをボディ表面に生成させるなんて謳い文句のコーティングもあるようですが、ホンマかいな?常温で、水分と空気により硬化反応して純粋な二酸化シリコン(ガラス)の膜を生成するやらなんたら、とか書いてありましたがガラスってそんなに簡単に出来るんけ?化学の先生に聞いてみよって感じですね。
まあそれはともかく、磨いた表面の上に透明度の高い物質を載せる訳ですから施工直後はそりゃあ綺麗に見えるようになるでしょう。
ただ、某ディーラーでもやっていた「CPC・○イント○ーラント」の謳い文句のような5年もつなんてコーティングはいまだにお目にかかったことはありません。無理です。メーカーの塗装膜は5年以上は平気で持ちますけど、それに匹敵する強度を持つコーティングはおそらく今のところ無いでしょう。
それでもコーティングをして、その初期性能(水ハジキや見栄え)を維持したいのならば、やはり1年に1度の再施工をし、なるべく塗装表面には触らず(そうすれば磨き傷はつかない)、普段は埃を払う程度に止めておく、という位が一番良いのでしょうねえ。
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