2010年3月5日金曜日

メーカークレームでの対応

これはどこかで書いたことがあるかもしれませんので、既にお読みになった方にはごめんなさい。


これは「お里」でその対応が分かれるような気がするんですが、クレームに対する対応についての感覚です。うちの嫁さんの実家ではフィットに乗っているので すが、これは近所のモータースから買ったクルマです。ディーラー側からすれば「○○モータース」に業販をしたクルマ、という事になります。

で、これはフィットではよく見る症例なのですがドアミラーの付け根の塗装が剥がれてきていました。これに対して、そのモータースが採った対処法は「タッチペンで照れ隠し」です。ついでに「いいら、こんなもんで」というコメントつきだったそうです。

言えねえ。こんな言い草はねえよ。

そのおっさんからすれば近所の数ある中のうちの1台に過ぎないのでしょうけど、買った人からすれば150万円からの金額を出して買った大切な1台のはずです。しかも初回車検程度の期間でそうなったということですから。

何でか知りませんが、私のところに車検を出す訳でもないのに、そういう文句だけはキチンと伝わって来るのが困り者です。
そこでピンと来たのは、初度登録5年未満だったということもありますので「これはメーカークレームの対象部品になっているのではないか?」という疑いです。結果、フィットは片側だけでなく両方のドアミラーの付け根が新品に交換されて帰ってきました。



私は新車販売の部門しか経験していませんので、「お客さんからの苦情・問い合わせ」は、直接私の携帯電話宛に届いて来るのが日常でした。まずお話を聞き、私の説明で、事が済む内容であれば直ぐにそこまで行き、「こうこう、こういう訳なんです」と説明しました。
また、そういう類いのクレームでない、製造時の問題であったり、数ある製品チェックをくぐり抜けてお客さんの目の届く所まで来てしまったようなものについては

「メーカーのお客様相談室に電話をしてくれ」

と言うのが常でした。

なぜって、仮にサービス課に「そういうことがあったから何とか対処してくれ」と言った所で、彼らにとっては「自分が直接言われている訳ではない」ので、「何時まで経っても進展しない」のが常なんです。結局面倒くさいだけなんですね。
クレーム情報を回して、静岡にある本社のサービス部と連絡を取り、赤伝を切って
どうのこうの、とね。で、また、そういう情報が回ってきた、という事を本社でカウントしているらしいんです。そうすると、あそこの営業所はお客さんからのクレームが多い、という評価にも繋がる(らしい)。

馬鹿馬鹿しい。結局ワリを食っているのはお客さんじゃあないですか。

ということで、初めは苦肉の策だったんですが、いつも常用していたのは「販売店の本社のお客様相談センター」などという中途半端なセクションではなく、「トヨタ自動車のお客様相談センター」に直接クレーム情報を入れてくれ、と逆にお客さんを誘導する、という方策でした。「これが一番早いし、後々の為にもなります」とね。

これだと、トップダウンで情報が本社に来ます。「アンタントコは何をやっているんだ」という感じでしょうかね。知らないけど。で、どうせ本社のサービス部なんてところは暇なので、それが直ぐに私のいる営業所のサービス課長宛に

「こういう苦情がメーカーに入っている。どういう初期対応をとり、どういう経過になっているのか直ぐに報告書を出せ。」

と、来る訳です。で、私がサービス課長に呼び出され、「柴田、こういうことを言ってきている人がいるようだけれども.........」となる訳ですが、 こっちは最初からお客さんとグルになっているわけですからね。「ああ、結構反応が早いですねえ」となる訳です。「で、どうしてくれるんですか」と直ぐに対 応策を引き出せます。ことが公ですから動きも早いし、小手先で済ますこともありません。

結局現場でどうのこうのとやっても、その処理は内々でやるとか、なんかの伝票と一緒にして処理しちゃうとかしてるわけです。実際は。じゃあ、お客さんにも よく、サービス課にも負担でないやり方としては何があるか?といえばトップダウンで指令が来る方法しか思いつかないんですよね。これならおおっぴらに動け ますから。じゃあ、「この部品を交換することによって納得してもらいました」、とかでも「どういう理由をつけて報告書を作ろうか」ではなく、「早く対処し て、その経過を報告しろ」ですからね。

中にはトヨタのほうから担当者が来たこともあります。
決して製造ミスを認める発言は口にはしません(もちろん、こちらもそこまでは期待していない)でしたし、口が裂けてもその場でそんなことは言えないでしょ うけど、お客さんとしては「販売店サイドがそこまで動き、トヨタもそれに対する動きをしている」という事が溜飲を下げてもらうこともあるわけです。「何か あったら、ここまで連絡が欲しい。直接で構わない。」と言って、その時にはその人(トヨタ車体)の名刺も預かりましたしね。

そこまで来れば、そこは大人の世界ですし。トヨタ(の従業員)にしたって、迂闊に言質を取られるような事は言えないですから。


例の事件では「販売店からの情報が届かない、届いていない」というコメントも出てきていましたが、クレーム情報の取り扱いというのも、個々の努力とかじゃあなく、システムとして吸い上げる仕組みを考えなくちゃいけないのでは?という気はします。

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