2009年3月26日木曜日

法律分野に関わる瞬間

普段はワイドショーなんかで取り上げられる事件の判決結果を見ながら「これはないだろう」「これはひどい」とか無責任な事を言っていますが、殊、自分の関わる法律分野になると「過去の判例に基づいて.....」なんて言ってる自分に気がつきました。もちろん交通事故の過失割合の事です。

もちろん交通事故の示談における過失割合に関して、一代理店ごときが介入できることはありません。あくまで相手方との交渉窓口は保険会社の関係部門担当者であり、代理店は事故状況の報告であったり、関係書類の取り付けであったり、周辺の雑用をこなすことくらいしか出来ません。
示談の進捗状況なんかについての報告はあります。ただ、直接契約者と保険会社間でやりとりをしてもらうと契約者の方が流れを理解していることが稀なので、どこでどういう返事や対応をすればいいのか戸惑うことが多いのも事実です。このためもちろん契約者の意を受けてからの話ではありますが、保険会社との受け答えは全て自分宛てに、という形をとることがほとんどでした。
しかし今回は失敗でした。そこまでしなけりゃよかったと久しぶりに後悔しました。

自分なりに思い返して失敗だったのが、こちらの契約者の修理指定先がディーラーだったこと。まずこれで修理金額のコントロールが効かなくなりました。
第二に運転者が奥さんであったこと。こういう場合よくありがちなのが交渉窓口として旦那が出てくることです。そのこと自体はいいのですが、困るのは当事者である奥さん本人があんまり表に出てこず、でもお気に召さない事態になると旦那に言わせる、というパターン。今回もそれを危惧して直接奥さんに話をするようにはしてきたのですが、自分と話をしているときにはにこやかな顔と声色で対応をされても、旦那が出てくるとどうも話がギクシャクしてくる。
こうなると、先ほどのようにこちらとしては「契約者の意を受けて動いたつもり」になっているのに、逆に「あの人の所為で交渉がうまく行っていない」ということになってしまい、なぜか疎まれてしまうということになります。というかそうなってしまいました。
第三に。事故のパターンが一旦停止無視による事故の被害者側だったこと。これですね。一番もめるパターンです。このパターンは逃げるべきでした。つまり保険会社と事故当事者との直接連絡で進めてもらうべきだったという事です。
一般的には8:2というのが過失割合の比率となります。これは交渉で決まるというより事故のパターンに当て嵌めるという作業です。ここから、修正要素と呼ばれる過度な進入速度であったり道路状況であったりを勘案して最終的な割合の落ちどころを決めます。
正直個人的な気持ちとしては一旦停止も100:0だろうとは思っています。赤信号とどう違う?ってなモンですね。この辺は冒頭の「ワイドショー見ながら.......」というあたりの感覚になります。
ただ、法律の運用というか判例上の判断、という話になるとやはり少し違った視点も出てきます。こういうパターンは通常の場合より加害者側が悪質だけど、こういう場合は被害者の側にも過失がある、というほかのパターンとの兼ね合いを考えた按分というかバランスというのか。
基本的には一旦停止の表示を無視しているということは「それを承知していようがいまいが」そのまま交差点に突っ込んでいる事実には変わりがないわけで。加害者側からすれば「知らなかったんです、ごめんなさい」ということなのでしょうが、それって被害者の怒りに油を注ぐだけなんですね。

こうした事故の場合、実際の示談の行方を握っているのは加害者側の代理店であることが多いような気がします。示談の進捗については節目節目で代理店には報告が行っている筈ですが、特に被害者側から譲歩を求められた場合は必ず代理店に連絡が行きます。おそらくそれは以前にも話題にした損害率(預かってくる保険料総額に対して実際に支払われた保険金の率。あまりに支払い割合が多いと代理店の手数料率を下げられる。)という数字に関わってくるから。つまり譲歩すればその分支払い保険金が増え、損害率も上がるというわけです。
自分が加害者側の代理店だった場合には、極力譲歩できるところは譲歩して、相手側の負担が減るように動いてきたつもりです。ただ、一回だけあまりにも相手側の態度が高慢過ぎたことがあり、そこまで譲歩することは無いということで、通常の範囲内での対応にとどめたことはあります。
では一般的にはどうかというと、これが法律上における賠償責任の範囲内です、ということでそれ以外の譲歩はしてこない代理店がほとんどのようです、というか今まで遭遇してきたパターンではほとんどそこまでの対応しかしてくれない代理店ばかりでした。うーん。

で、実は悩んでいます。
あんまり通常以上のことをしても理解してもらえないのならば、そこまでしなくていいじゃんか、という諦め、というかね。とりあえずは、昔からのお客さん以外には様子を見つつ、という対応にとどめておこうかな、と考えています。

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