2010年10月7日木曜日

電気屋さん近況

昨日、ちょっとした用事がありクルマ関係の電気屋さんの所に行きました。クルマ関連の電気といえば「エアコン・オーディオ・オルタネーター」関連が主な業務の守備範囲となります。今年の夏はいかにもな夏でしたので、エアコン関連の仕事は結構な量になったようです。「いそがしかった」とも聞いてますし。
でも、急激に夏は遠ざかり、エアコンの活躍頻度が低くなってきた昨今、電気屋さんとしての仕事の密度は急激に薄くなってきたようです。

いつものように、用事が済んだら四方山話タイムに入る訳ですが、なんだかあんまり景気のいい話は聞こえてきません。期間限定のお話として「車載テレビの地デジチューナー」化作業という話もありましたが、それでもあんまり元気がない。



クルマの電気屋さんといえば伝統的に上記の3分野が守備範囲だったわけですが、パイオニアの会社更生法適用なんかの話にもあるように、オーディオ関連に昔のような勢いはありません。

クルマメーカーも、嘗てはきちんとDINサイズを守ったオーディオを展開していた時期もあったわけですが、ここ10年くらいは独自規格のオーディオを設定する傾向にあります。
一時を思うとナビの値段も下がりましたし、また純正ナビ・オーディオの装着が前提のような操作系だったりデザインだったりすると、却って入れ替えたオーディが妙に浮いたデザインになってしまうことも珍しくありません。こうした社外品のオーディオは、どうしての操作パネルのデザインだけで己の存在を誇示しなくてはならないという商品の特性もあって、どうやってパネルデザインだけでその個性を出すかに神経が払われるという傾向があります。しかも商品のラインナップ上の上位機種、下位機種の差も出さねばなりません。

ナビに関しては、いい加減機能的にはこなれてしまいました。

地図データに関しては7ギガとか8ギガあれば容量的にも事足りてしまうことが分かっていますから、これはSDカード等のメモリーに格納できてしまいます。音楽データも、もう一枚メモリーカードを格納することによって、ハードディスクを本体内に内蔵しなくてはならない必然性は無くなりました。またこれにより故障の可能性を排除できますし。
となると、高価格帯への誘導は地上波デジタルのフルセグタイプくらいしかネタはありません。もっとも、これも運転手にとってはどこまで意味があるか?という話です。



エアコンも、以前のような後付が主流であった頃ならば、後から色々と世話を焼かなくてはならない事も出てもきましたが、ここ20年ほどはメーカーのライン装着が主流となりました。私的な感覚としては、平成になってから以降のエアコンに関しては、ほぼガス漏れに因るエアコンの作動不良という話は聞きません。事故でもしていればまた話は別ですが。

よほどの事までエアコンメーカーがトラブルを先取りして設計もしていますし、作業レベルがバラバラになりがちな後付けがほぼ皆無になった以上、下手に手を入れるほうが壊れる要因となります。だって、ここまでユニット化されている以上、エアコンフィルターを交換するくらいしか手が入る要素も無いですし、メーカーも、後から手を入れられる事を想定していませんし。昔を思えばエバボレーターも丈夫になったもんです。
近頃ではフロンガスの量すら随分減らしていますしねえ。ここまでするのか?と思うくらい。
てことで、下手に手を入れられた個体の方が壊れやすいです。



あとは発電機・セルモーター関連ですが、トラックとかならともかく、それ以外であのあたりがダメになるくらい長期間乗られるクルマがどの程度あるのかなあ?という感じですね。


ただ、最近はアイドルストップをする車も増えてきていますから、逆に需要が出てきているのかな?でもエコカー減税効果で初期型プリウスも随分見ない存在になりましたから、実数はあんまりないのかもしれません。



そんな具合で、メーカーの製造精度が上がってきた事もあり、また、今まで他所でやってもらった商売は可能な限り社内でこなす、という方向にシフトしてきていることもあり、こうした所謂「外注さん」の仕事のうまみはますます減ってきているようです。




近頃の車は電子装備の塊なのは御存知の通りなんですが、どうも電気屋さんの方からそうした電子装備の手当てに乗り出す、という方向の動きは無いようです。せいぜいが後付けの装置の取り付けをする、という程度まで。どうせ電気に詳しいのならもっとECUのエラーチェックとか、そういう方面に乗り出しても良さそうなもんだと思うんですけどねえ。業者用のそうした汎用コンピューターもあるわけだし。

整備工場のメカニックが怪しげな手つきでおそるおそるコンピューターをいじっている姿を目の当たりにもしていますので、今まで電気を守備範囲にしていた人たちがそこに乗り出す、というのもアリだとは思うんですけどね。


あとはやはりプリウスなどのハイブリッド車達ですよね。もちろんメーカー側がブラックボックス化している部分もあるのでしょけど、ディーラーにいる私と同世代のメカニックですら「今のクルマは触れない」と言って逃げている位ですから、そこに電気屋さんの入り込む余地もあるんじゃあないかなあ?



もちろん彼らがどこまで今時の技術に追随できるのか?という事が一番問われているわけなんですが。

でもここらで一発専門家の意地を見せて、ディーラーのメカニック程度は「あっ!?」と言わせて欲しいものです。

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