2009年12月6日日曜日

タイヤバルブの話

昨日は、以前事故代替で納めたヴィッツの12ヶ月点検をしてきました。
機関そのものや機器の作動については特に問題も無く、順調に点検作業は進んでいきました。

12ヶ月点検の最大のキモはブレーキ関連の整備です。6ヶ月点検は無資格でもできますし、今現在は大した点検箇所もありませんので、ちょっとボンネットを開ければ終わってしまう程度の内容でしかありません。でも、12ヶ月点検だけはできません。なぜかというと「ブレーキの点検」があるからです。最重要保安部品ですからね。
それらを終え、タイヤローテーションをして、最後に空気圧をチェックして、となるのですが、ここで最後のトラップが仕掛けられていました。犯人はエアーバルブです。おそらくホイールにひっついているゴム部分が劣化しきっているのでしょう。ちょっと触るとシューシュー漏れ出しています。これでは納めることができません。

ここで話が見えない方のためのタイヤの歴史です。
以前はチューブのあるタイヤでした。ホイールとタイヤの間に空気を溜め込んだチューブが入っている構造です。このチューブがふくらんだ圧力でもってタイヤとホイールを密着させていたわけです。弱点としては釘などを踏んでパンクしてしまうと、一気に空気が抜けてしまうことです。

これが後年改良され、今の主流に成っているのがチューブレスタイヤです。
空気を溜め込むゴム風船のゴムをタイヤと一体化してしまい、ホイール側にもチューブの役割を持たせ、タイヤとホイールを密着させることでエアー漏れを防ぎます。こうすることで、釘を踏み抜いたとしても、それを抜かなければエアー漏れは徐々にしか進まず、すぐに行動不能になることはない、というメリットが有ります。
デメリットとしてはエアー漏れ対策をホイール側でもきちんと管理しなくてはならない(製造時の精度管理)点や、ホイールが破損してしまうような事故の場合はエアー漏れを防ぎ様が無い(このためハイラックスサーフのスチールホイール仕様車は、ヘビーデューティーでの使用を想定して、わざわざチューブ式タイヤを使っていました。)こと、エアーバルブ本体とホイールとの密着部分でもエアー漏れの可能性があることなどです。今回はこの最後のデメリットが顔を出した事例ですね。



実は私がディーラーに居た当時は、このエアーバルブ本体を交換するというメニューは存在しないも同然でした。
私の居た営業所ではタイヤの交換機具はあっても使いこなせる人間が居なかったので、実際の作業はすべて外注に出していました。メーカー系列(グッドイヤー)のタイヤ屋さんと近所のガソリンスタンドです。
そのどちらの作業光景もつぶさに見ていますが、当時エアーバルブを交換しますか?という問い掛けを作業現場で耳にしたことはありませんでした。もちろん、タイヤ交換作業を受け付けているサービスフロントでも「エアバルブ交換」の「エ」の字もなかったですね。今ではどうか知りませんかど。

エアーバルブ交換に熱心なのは自動後退などの用品屋さんですが、基本的に私がタイヤ交換を請け負ったときもエアーバルブは全数交換します。別に売上云々等といった理由ではありません。だって、私の場合エアーバルブの部品代は伝票金額そのままなんですから。
それより何より、たかだかこんなことでパンクをして呼び出しを受けるのを避けたいし、避けられた方がオーナーとしても良いですよね?というのがその理由です。

タイヤ屋さんとしてもエアーバルブ交換だけでタイヤを持ち込まれても、結局はタイヤをリムから外さなくては交換できませんので、通常のタイヤ交換作業の工程と大差はありません。
昨日もタイヤ屋に持ち込んでバルブ交換をした後に納めましたが、交換工賃は4000円の消費税を取られました。その割にバランスの再チェックをしなかったなあ、あそこ。




ということで、タイヤ交換の際にはエアーバルブも交換しましょう。交換サイクルによっては「そこまでしなくても.....」ということはありますが、それでもそうですねえ。5年位をメドに替えた方が良いでしょうねえ。
そういえばランフラットタイヤ装着車で空気圧警告灯が装備されているクルマの場合、空気圧センサーが一体化されたエアーバルブがタイヤの中に入っているはずなんですが、あれってタイヤ屋さんが常備しているものなんだろうか?無いよなあ、多分。空気圧を測るセンサーのところで空気が漏れてたらシャレにならないなあ。

あ。ちなみに私のところでは窒素ガス注入はやっていません。だって変わらないもの。きちんと水分を飛ばした空気を入れてもらえば良いだけです。ご参考までに。

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