2008年6月8日日曜日

クルマ屋さん

久しぶりに会った人ほどよく言われるのが「今何やっているの?」という言葉。お天気程度の挨拶なのか、まずはそこが興味の対象なのか、自分でも確かに久しぶりの奴にはそう聞いてる。そう考えると、べつに仕事内容に興味があって聞いてる事は殆どないから、ま、挨拶程度というか社交儀礼程度ということか?

大概「クルマ屋だよ」とか「保険屋だよ」とか、「一人で保険屋とクルマ屋をやってるんだよ」というんだけど、特に3番目の答え方をすると相手は返答に困るらしく、「へー」で終わることが多い。だから最近は「一人でクルマ屋やってるんだ」と答えることにしてる。
で、こう答えると次に続くのが「じゃあ、安く買えるの?」。まあ、一番無難なのは「まあ、一人でやってるだけだから、ソコソコはね。」という答えかなあ。この後の会話の続きはその時その時だけど、中には喰らいつく奴もいる。

以前も書いたけど、この業界は、なんだかんだと中味がバレすぎているんで「びっくりするほど安く買えた」とか「こんなに高く買ってくれるんだ」というのは実際にはない、と思っていい。
安いのには安い訳があり、高いのには理由があって高いだけの話。
だから困るのは「柴田だから、きっと安いのを見つけてくるに違いない」とか「僕から利益を出す訳がない」という勝手な思い込み。
たまたま安いのは、ちょうどいい出物の買取があったとか、業販で売ってくれたときの仕切り幅が大きかったとか。後は東海4県の範囲くらいなら、さっさと仕入れや下見に行くという腰の軽さで、なるべく広い範囲で安いのを探してくるから。
そうすれば中には何らかの理由で(早く処分したがっているとか)安いクルマもあるし。それにプラス、自分の場合は名義変更料を実費分くらいしかもらっていないから。そうすると車検のあるクルマなら店頭表示価格くらいで全てを納めることも出来る。そうすると大体諸経費分で10万や15万くらいは後から加算されることを考えるとその分くらいは安く買えるのかな、と。


大体の目安で言うと業者の仕入れ価格というのは店頭表示価格の平均のマイナス10万とか15万程度と思えばいい(価格によっては上下はあるけど)。で、オークション会場への手数料とか会場からの輸送料で5万程度。買取業者の取り分が3万から5万程度。
ということは買取金額は店頭価格のマイナス20万ぐらいが上限で、そこから傷や事故落ち、色の人気度合いなどで上下する、と思えば大きな外れはない。今は「ネット」という便利なツールがあるから自分の住む地方、静岡なら東海地方とかで、後は年式や色・グレードなどで絞っていけば平均店頭価格帯が出る。後はそこから逆算すればいい。
これがおおよその仕組みだから「Goo Net」なんかで条件検索してもらえれば自分でおおよその金額の検索は出来るはず。
輸入車なんかは、やっぱり今でも故障が多い。だから、さっきの店頭表示価格はバラバラである例が多い。このため目安金額は最低金額近くに持っていくと後のショックは小さくて済むと思います。実際あんまり夢見ない方がいいです。個人的には輸入車こそ中古に限ると思っていますので。金額もそうだけど、外車はイヤーモデル制ですから何のこともない普通のモデルライフ途中でもびっくりするくらい変えてくることがあり、ショックが大きすぎることも多いので。



今日は何でこんなことを書いたのかというと、人の話を聞いていないというか、夢多き人が商売相手だったから。価格や程度について思い込みの強すぎる人って、なかなか決められないんだよね。で、逆にチャンスを見逃すことも多い。特に中古車は水物だから、ある程度タイミングや思い切りの良さがないと決められない。
今回の探し物は「軽トラック」だったんだけど、実際あれを買う人ってのは「新型が出たから」を理由にする人はないから、ちょうどいい中古車というか、ホドホド古い、というのがなかなか無い。だって変える理由がないもん。動けばいいだけだし。
あとありがちなのが「高齢運転者」になりすぎて親族にクルマを取り上げられた、というパターン。これなら年式は期待できるけど、直接買取・譲渡の場合でない限り値段の期待は出来ない。だって、買取の話が入ってきた時に、そんなにおいしい状態の軽を高く買う必要はないじゃん。相手は処分したがっているんだから(勿論叩けるだけ値段は叩く、ということですね)。この辺は押して引いての力関係というか、微妙な力加減によって相場は動くという。で、それが店頭に並ぶ時には結構な値がついているというわけ。

最近はヤフオクで、という人もいるけど、あれは出品者がたいてい業者だから、丹念に探さないと(丹念に探しても)「これは」というのはやっぱり少ない。しかもあのシステムだと探しにくいんだよね。即決金額は結構いい金額(つまり高い、ということ)の事が多いし。素人さんの出品がないわけじゃないけど、逆に夢見すぎた金額というか「いくらなんでもボリ過ぎだろう」というのが多い。しかも仮に落札した所で、入金のタイミングが難しいんだよね。クルマとの引き換えのタイミングとか。現車確認のこともあるし。
複数人、ヤフオクで買った人がいたけど、もろに引っかかって中には30万くらい、いかれちゃった人がいました(クルマは上限50万のヤフーの保証金があるので差引で、という事)。クルマも見ないで、18の女の子が、しかも浜松の人間が何で鹿児島の出品者から、何の変哲もないクルマ(ちなみにラパン)を買うかなー?僕なら怖くて、とても出来ません。


福野さん、という自動車評論家の方がいます。彼が以前「クルマ買うなら人見て買え」という事を書いていましたが、その通りだと思います。実際クルマそのものは、目の前にあるものが全てですけど、情報が行き渡っていることもあり、どれもおしなべて程度や条件が同じなら金額も同程度です。ならば、目の前の人がどんな情報を提供してくれて、どこまで付き合ってくれるのかが重要だと思うんですけどね。
ま、でも自分がお客さんたちの目に、どういう風に映っているか分からないのがつらい所ですが。


ではこの辺で。

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