とある方から「油膜がヒドイ」ということを聞きました。ちょうど点検時期だったこともあり、6ヶ月点検を絡めて1日お預かりしてきました。
さて、先ずは水をかけてみました。
なんと言ったらいいか、どうも油膜なんて生易しいものではなく、ガラスコーティングでもしてあるかのような水弾きでした。これはちょっとやそっとのモノではありません。先ずは手始めに家庭用洗剤「ジョイ」で洗ってみました。洗剤としては家庭用食器洗い用の洗剤というのは非常に強力なので、少々の油膜程度ならばこれで取れてしまうことが多いので。
ただ、もしこれを読んで家庭用洗剤で洗おうとする人に気をつけていただきたいのは、この洗剤は非常に強力なるが故に、きちんと洗剤分を洗い流しきってしまわないと、塗装皮膜をいためてしまう可能性があります。お取り扱いには十分お気をつけください。
さて、ジョイ君のお仕事ぶりは.........、ダメでした。まったく歯が立ちません。やはりこれはガソリンスタンドなんかでの洗車機によるツヤだし洗車なんかをやられたような感じです。ガラス表面を水滴が滑るように流れていきます。ただ、走行中の風程度で雨滴が流れてくれるほどの弾き方ならいいのですがそれほどでもなく、ワイパーをかけるときちんと筋の残る拭取りになってしまい、却って危なくて仕方がないという状態です。
そういう状態が、フロントガラスだけでなく、サイドやリアガラスも似たような弾きかたですので、やはり洗車機による撥水洗車辺りがかなり怪しいかな、と。
ここまできたら、ガラス表面に付着している何かしらのコーティング層を磨き取るしかありません。念のため昨日の内に純正でウィパーゴムだけは買ってありますが、それを試すのは最後の事です。先ずは磨きです。
自動車用研磨剤と言えばコンパウンドなのですが、普通、ボディの磨きなどに使われるコンパウンドではガラスには使えません。というのもガラスそのものは割れるというイメージから、脆いと思われがちですが、実はガラスそのものは非常に硬い物質です。このためボディ磨きに使われるコンパウンドに含まれる研磨剤程度の硬度で歯が立たないのです。このためガラス磨き用コンパウンドというものが存在します。細かいことまでは知りませんが、研磨剤には酸化セリウムとかを使っているのだとか。
ただ、需要がそんなにないのか、それとも酸化セリウムそのものが高価なのか、ガラスコンパウンドは高価です。ボディ磨きに使うコンパウンドが1本4,000円程度であるのに対してガラスコンパウンドは7,000円ほどします。でもまあ、1台あたりの使用量はタカが知れているので、長い目で見ればいいや、ということで実は1本持っています。
作業をするにあたって気をつけるのは、とにかくガラスに傷をつけないように、周囲に傷をつけないように、ということです。もちろんポリッシャーと呼ばれる器械を使って磨き上げるのですが、バフと呼ばれる接触体はその都度、磨く相手やモノ、行程によって入れ替える都合上、マジックテープによって付け替えます。このためきちんと中心について入ればまだいいのですが、その辺はヤマ勘に頼っています。このため遅い回転数とはいえ、多少のブレは来ますので、うっかり手を抜いてポリッシャーを持っていようものなら周囲に跳ねてしまうこともあります。自分のクルマなら笑って済ませられますが、人のクルマを、しかもお金を取って預かっている時などはそれではすみません。
さて、そんなこんなで実質ガラス磨きだけで1時間ほどかかってしまいました。その後ワイパーゴムを新品に入れ替え、拭取りはバッチリになりました。
納車の時に気が付いたのですが、サンバイザーの所に「FK-2」という文字の入った紙が挟まっていました。施工が1月23日とか書いてあります。それを見た瞬間「やっぱりね」と思いました。
この件に限らず、ガソリンタンクの水抜き剤とか撥水ワイパーとか、はてはエンジン内部(だけに限らないけど)に入れる添加剤とか。まあ本業のガソリンの売上に対する利益率が低すぎるということに起因するのでしょうけど、そのバイタリティには感心することもあるのですが、クルマ屋からすると非常に迷惑をさせられる所があります。はっきり言うと、クルマそのものはそんな摩訶不思議な用品などを使わなくても(というより使わないほうが)健全な状態でいてくれます。
水抜き剤などは入れなくとも、実際にはガソリンタンクの中などに水は溜まらない(入っていたとしても「溜まる」などというレベルではない)し、かえってその主成分のエタノールの悪影響がどうよというレベルです。撥水ワイパーも確かにその時だけはいいのですが、撥水=強力な油膜ということでもあるので、後で始末をする方が大変ということもあります。自分の場合は元に戻すのにも、使い回しをするワイパーの板バネを捨てられてしまったので、それで難儀をしました。また、エンジンの添加剤などはもってのほかで、そんな程度で良くなるのならばメーカーのほうでとっくの昔に手を回しています。例えはピストンスカート部に施してあるモリブデンコートとか。
基本的には「定期点検」はきちんとしてもらい(最低サイクルとして12ヶ月点検)、メーカーの定める交換基準よりやや早めにオイル類や油脂類を交換してもらい(さすがにメーカー基準だとちょっと交換サイクルが長すぎるような気がします。メンテナンスフリーを目指しているが為、というのは理解は出来るし、そのほうが廃棄品が減らせる、というのは分かるのですが......。)、交換する油脂類や補給部品はメーカー指定の純正品を使う。後は乗りっぱなしでOK、というのが今の日本車です。
逆に早すぎる交換、例えばプラグとか、ATFなどを最近は狙い始めているようですが、これらの部品はホントに機械の内側にあるものなので、あんまり下手下に触られるのもどうかという気がしています。
プラグは2万キロで交換というラジオCMもありましたが、それよりも今時のエンジンはヘッドもアルミであることが多いので、変にプラグをねじ込まれる危険性を考えると、なるべくなら触る機会を少なくしたほうが良い様な気がします。せいぜい7~8万キロに1回程度の交換で十分でしょう。
またATFなどはいろいろな特性を考慮した上で非常に精密に性状を設計されている製品です。潤滑、冷却、伝達効率、洗浄、寿命などなど、あちらを立てればこちらが、ということだらけです。こうした所に特定の性能だけを狙った添加剤などを入れた日には、せっかく狙って作ったバランスがめちゃくちゃになってしまいます。こういう物は純正品を使うのが一番です。せっかく寿命も考慮されているのですから、2万キロとか3万キロごとの交換を言うところもありますが、無駄な出費をすることもないでしょう。メーカーでは基本的に無交換で良い位の事をいいますが(これもおそらく変な製品を入れられないための方便でしょう)、やはり10万キロを上限にそれでも7万キロ辺りでの交換が良いのでは?と思っています。
そういえば、ガソリンスタンドで通常使われているオイルは市販の最低グレードであることが多いようです。当時SJグレードが出回り始めていた頃の事ですが、ふと行きつけのガソリンスタンドでのオイル交換作業風景を見ていて「オイルは何使ってるの?」と聞いたところ「SF(当時でいえばおそらく最廉価オイルだったでしょう)」と言われたことがあります。今時SFなんてあるのか?と思うと同時に「安っすいオイル使ってんだなー」と思ったものです。
何でこんなことを言うかというと、ここのところの環境性能対策やエンジン設計の高度化により、現実的な問題としてエンジンオイルの性状を「最低限これ」と明確に求め始めていることがあります。
昔ならば、エンジンを設計する際、オイルというものは「最後に入っていればいいもの」という認識だったそうですが、今時のエンジン設計におけるオイルとは「エンジンの中に入っているのが前提」であり、オイルの粘性や流動性、洗浄能力などの前提基準の上にピストンとシリンダー間のクリアランス設計が成されたり、オイルラインの設計などがされているのだとか。
話が元に戻りますが、冒頭の撥水洗車による油膜にしても、似たようなところがあるのかな、と。つまりは「これがいい」と思ってやっていることであっても、それはお店の側にとっての良いことであって、本質的には「どう?」と首をかしげることが随分とあります。
醒めた物言いでよければ「人のクルマだから、その人がそれでよければ」となりますが、困るのはそのツケがこちらに回ってくること。まあそれも1つの商売だろと言われれば、確かにそういう面もあるのですが、損しているのはお客さんでありそのクルマである訳です。もう少し「クルマにとって(オーナーにとっても)いい事、悪いこと」を考えてあげて欲しいなあ、と思ったりもするわけです。
あ、そうそう。こないだリンクさせていただいている(そこの患者でもある)「オペラデンタルオフィス」のサイトを訪れた所、そのオペラさんのリンクサイトの中に、他の歯医者さんたちの物と思しきサイト達にまじって「しばた新聞」がリンクされていました。ありがとうございます。
なんか場違いなような気がするようなしないような。他にも幾つかリンクしていただいているサイトとして、いつもコメントをいただいている「コロパパ」さんのサイトや「らかす」さんなどがあります。せっかくこうしてご紹介いただいているのですから、ご紹介されるにふさわしい、というか少しはお役にたてるような記事を書いていきたいなー、という気持ちだけは忘れないようにしていきたいと思います。
そういうこともあって、最近は世情や環境に対する気持ちの吐露よりはクルマや保険に関する情報めいた物のほうがいいかなーとも思っているのですが。またご感想をいただければ幸いです。
0 件のコメント:
コメントを投稿