おそらくもう10年近く前になるのだろうけど、兄貴がアルファロメオを買いました。
もちろんシビアというかけちな兄貴なので新車で買うはずもありません。ディーラーの試乗車上がりの1年落ちとか半年落ちとか、そんな具合のクルマだったかと思います。
ちなみに僕自身は兄貴にクルマを買ってもらった(商売で)ことはありません。身内に頭を下げたくない、という事もありますが、買う訳でもないくせに小しゃらくさいことを言う(本人曰く「いつお客になるかも知れんじゃないか」とはいいますけどね)ので逆に営業としては「お客にする(なる)気がない(しない)」タイプの人です。経験上、そういう人ほど買わないので。
まあそれはそれとして、そういう「人の気持ちには全く無頓着」な人なので、ズーズーしくもアルファを買った、と言いつつその日の夜、柴田の部屋に入ってきて言うことには「車庫証明の取り方と名義変更書類はなにを揃えたらいいのか教えてくれ」と、こきゃあがりました(日本語訳 「言いました」)。そういうところで金額を取られることは大嫌いな奴なのでおそらく「弟がトヨタディーラーでセールスをしているので、弟に頼む」くらいのことは言ってのけたのでしょう。
ムカムカする心を抑えつつ、車庫証明申請書に必要事項を記入し、書類を揃え、印鑑証明を取り、こことここに実印を、とか言って、最後に「後はこれを浜松中央署の車庫証明申請の窓口に提出して........」というところまで言いかけると、言うに事欠いて「それ出してきてくれんかなあ」。おいおい。ええ加減にせいよ。結局やらされましたが。
後日兄貴から、アルファのお店の人に「弟さんに作成していただいた書類は完璧でした」と言われた、とか言っていましたが、当たり前です。何年やってると思ってんの?というか、その程度の信用しかないのか?
と、まあ、そんな経緯でアルファロメオが兄貴の元に来たわけですが、最初の頃は何度か乗せてもらいました。「世話になったから、そのお礼として」とか言われて。
で、たしかにおもしろいクルマではありました。145というモデルです。
で、それから随分たつんですが。まだ乗ってます、そのアルファ。
手入れはぜんぜんしないくせに赤なんか買ったもんだから、買って何年もしないうちから劣化が目立ち始めて、しばらく前から屋根とボンネットの塗装はボロボロです。赤い塗料の顔料は紫外線に弱いので劣化しやすいのです。鳥のウンコがのっていても知らん顔でそのままなんですから、ま、当たり前っていえば当たり前の結果なんですが。
そのくせ、妙に整備料の高い業者にいじらせるもんですから維持費はけっこうかかっていたはずです。アルファロメオだから、ということでその手の車に精通している業者を兄貴なりに探したらしいのですが
、得てしてそういうところは「メカニックの仕事ぶりもアルファロメオになっている所が多い」ものです。一回だけ一緒に行ったことあったけど、作業内容を聞く限りではいい(高い)工賃請求されてたなあ。本人は「これでメカニック方面は大丈夫」と思い込んでいたでしょうけど。
今時の車なんですからどこの車であってもいじるところ・診るところは一緒なんですけどねえ。ハイブリッド車はまた別分野になってしまいますが。まだ自分の手元にはベンツCがいますが、去年末、普通に車検通してもらったら8万円台でしたもんね。そんなもんです。
そういえばエアコンが何年か前に逝ってしまっているそうです。去年横に乗ったときに暑かったのはそのせいでした。
しかもタバコを吸っていたくせに窓ガラスの内側を拭き上げるということを全くしないので、視界がなんとなく白濁していました。横に乗った時にガソリンスタンドで濡れ雑巾を借りフロントガラスを拭きあげたらものすごくきれいになり、本人もびっくりしたものです。本人曰く「ガラスが劣化してこうなるものだと思っていた。」。............。
窓を開けて走ると、なんかフワフワしたものが室内を舞ってズボンが真っ白になりました。何だこれと、その原因を探ると、ドアの内張りの布が劣化して剥がれて、その更に内側に入っているスポンジも劣化していて。で、そのスポンジが風化したモノが粉になりぽろぽろと落ちて、車内に風が入るとそのスポンジの粉が舞っていたというわけでした。
流石に兄貴もこれには参ったらしく、ドアの内張りを張り替えててもらうにはどうしたらいい?という相談が柴田のところに来ました。
この内装の張替えの際、久しぶりにアルファに乗ったのですが、やれていましたねえ。兄貴は「サス(ショックアブソーバーのダンパーの油)が抜けているようだ」といっていましたが、それだけじゃあないです。ボディがもうガタガタ。自分ならこれを修理するくらいなら、同程度のアルファを買ってきます。どうせあの型のアルファなら30万くらいですし。まあ乗られ方もいじられ方も悪かったんだろうなあ、とも思いますが。
個人的には同時期に出ていたアルファの156というタイプがお気に入りでした。こちらも既に40万そこそこの表示価格になってきています。ちょこっと食指が動いたこともあったのですが、アルファとはこういうやれ方をするのか、という実地経験をしたので、多分もうアルファロメオを所有したい、とは思わないでしょう。おそらくガタガタでしょうしねえ。安物は安物なりってことです、特にアルファは。「命短し恋せよ乙女」って感じなんでしょうねえ。
話は少々変わりますが、PSシリーズのゲームソフトに「グランツーリスモ」というレースのドライブシュミレーターソフトがあります。普通のレースゲームでは「こういう状況のときにプレーヤーがこういう操作をしたらこういう挙動をする」というシーンごとのパターンを組み合わせて画面上の車の挙動を切り替えていきます。
ただ、この「GT」シリーズではクルマごとにそれぞれ設定された基本データ、例えば車の全長・全高・全幅だとかホイールベース、トレッド、車重、前後重量配分比や駆動方式、各ミッションのギヤ比、タイヤサイズやバネ下重量、はたまたクランクシャフトの慣性モーメントなんていうデータまで、総計100項目以上の計算要素を元に「今の状況では、車はどのような挙動をとるか」という事を毎秒50~60回計算をして、その度にその結果を画面情報やコントローラーのバイブレーション情報として出力してゲームを進行させているのだそうです。
いつの頃からかは知りませんがこのGTシリーズの「車両挙動」の計算要素の中に「ボディ剛性の劣化」という項目があるのだそうです。その内容は皆さん御想像のとおりですね。「ドイツ車はおしなべて高め、次に日本車、その次にラテン系が来るけど、その中でもイタ車は特に低め」なんだそうです。つまり新車時はいいとしても、距離を経た時の劣化度合いが酷い、という事ですね。
うーんさすが「ドライビングシュミレーター」を標榜するだけのことはあります。確かに自分の経験の範囲内でもそんな序列は感じます。
おかげで近頃はアルファロメオを見ても、特にどうという印象を持たなくなりました。それこそ新車を2~3年ごとに乗り換えていくクルマなんだなあ、という感じです。
ただ、見かけはいいので知らない人は注意が必要です。ついついフラフラと近づくとえらい目にあうこともありますのでお気をつけください。
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