2009年2月25日水曜日

どこに行ったか車検証?

最近車を借りてくるとよく遭遇する事態があります。それは車検証が行方不明なこと。

グローブボックスを探し、シートアンダートレイを探し、メーター裏の小物入れを探し、ドアポケットを探り、シートバックポケットを探し、トランクのアンダートレイまで探してもない。
普通世間一般的には車検証なんてまず用のないものの一つだと思うのです。ということは、まず触ったこともなければ見たこともない、というのが普通の反応です。車検証が見当たらないんですが、どこかにしまいましたか?と聞いても「え?それどういうの?」という反応が返ってくるばかりです。
わりかしある光景としては、点検や車検で借りるたびに見かけるパンパンに色んな書類で膨れ上がった車検証入れの変わり果てた姿。クルマをお返しする時に「なんか書類でいっぱいになっていたので、必要なさそうなものは処分しておきましたけど、よかったですか?」と聞くと、ものすごく感謝されることが多いです。何が必要なもので何が必要でないのかわからないので、とにかく全部入れとけ、というのが一般的な傾向のようです。
クルマ屋的には、車検証と今現在有効な自賠責保険の証書だけはセットにして入れておいたほうがいい、といっておきましょうか。
その他、別々にしておくと行方不明になる可能性の高いものとして「リサイクル券」があります。それ以外では、クルマの取扱説明書と、保証書(トヨタの場合は整備記録簿の束とセットになっているはずです)、それと今までに受けた整備点検の記録簿控が揃っていれば良いでしょう。
保険屋の視点で言えば、いざというときに連絡をする電話番号が書かれた保険証書についてくる半券みたいなのがあればもっと良いでしょう。もっとも、緊急連絡先とは書かれていますが、ほとんどの場合ただ事故受付をしてくれるだけで、そのほかに何にもしてくれないことが多いので、事故現場に来てくれて、何かと世話を焼いてくれる、連絡の付く人の番号を携帯のメモリーにいれておくほうがいいのでしょうけどね。
それ以外、例えば古い自賠責証書や、保険屋から送られてきた保険契約の約款やら何やらがどっさり入っている封筒とか、整備工場からの請求書とかその領収書とか、そのほかは全て捨ててもいいでしょう。ついついそのスペースのかなりを占めるナビゲーション関係の取扱説明書なども一緒にゴミ箱に直行したくなるとは思いますが、近頃の特にディーラー査定では「取扱説明書が一式揃っていること」なんて項目も追加されましたので、それは思いとどまっていただいた方が無難です。以前、一度ひどい目にあったことがありました。

さて。行方不明の車検証です。
一番の容疑者は、それを触りそうな人間です。つまりはクルマ屋ですね。部品を取り寄せるのにも、適合するパーツを検索するのにも、まずその車輌データが必要となります。基本的には「初度登録、型式記号、車体(フレーム)番号、エンジン型式、類別区分番号」この辺ですかね。で、この辺りが全て一式書いてあるのが車検証なわけです。つまりは、何か調べ物をするためにクルマから車検証を出して、そのままどこかにしまい忘れてしまったか?ということでです。
あるときなどは一回車検証入れごとクルマから出したはいいのですが、それを戻すときにグローブボックスの中がモノだらけで(本当はゴミだらけとかガラクタだらけとか言いたい.......)どうやっても元のようにすんなりグローブボックスが閉まってくれなくて、泣きたくなったことがあります。

それ以外に理由としてありそうなのが、ここのところディーラーでよくある「1日車検」という奴です。
基本的に町の整備工場では1泊2日で車検をすることがほとんどだと思います。1日目に車を借りて、その日の内に一通り点検を済ましておいて、要交換のパーツを発注しておき、翌日早い時間に各地の所管の陸運事務所にクルマを持ち込み、そこの検査ラインを通す。で、新しい車検証を出してもらい、一旦工場に帰る。そして届けられた要交換のパーツの交換作業を済ませ、納車準備をして、クルマを納める。多分こんな流れのはずです。
ところが、クルマの整備工場の中には「認証工場」と呼ばれるところがあります。平たく言うと陸運局のお墨付きをもらって、陸運局と同じレベルの検査ラインを持ち、陸運局職員と同じレベルでクルマの検査が出来る「検査員」と呼ばれる専任の人間(検査員資格というものがあるのです)がいる工場ということです。普通の整備工場との違いは、もちろん検査ラインを備えなければいけませんから投資金額も違うのですが、それ以上に車検のクルマをわざわざ陸運局まで持ち込む手間が要らなくなる、ということにあります。

このため、認証工場ならば「1日車検」とか「1時間車検」が可能になります。要はその時だけでも検査ラインに通る状態であれば車検は問題ありませんので。ただ、これだけで終わっていては工場は儲かりませんから「24ヶ月定期点検」というメニューやあれやこれやというトッピングメニューを用意しているわけです。一日で終われば、特に一時間で終わるのならばお客さんに待っていてもらってもいいでしょうし、何より工場としては代車を用意する必要がなくなります。

ただ、検査そのものはいいのですが、新しい車検期間が記入された車検証は陸運事務所でないと発行してくれません。このため認証工場では、その日の内にやり終えた車検を受けた車の書類は、翌日まとめて陸運局に持ち込むということをします。つまり車検証が出来上がってくるのは翌日なわけです。
ここで、特に今まで支払いに問題のなかったお付き合いの長いお客さんや、既に支払いを終えてしまったお客さんの車検証は、とっとと郵送してしまうのです。お客さんとしては「何だこれ?」ということで、そのままどこかにしまいこんでしまって....、という場面に今まで何度か遭遇したことがあります。

まあ、別に車検証くらいはなくても再発行してくれるのでいいのですが、困るのはお巡りさんに運悪く引っかかった時とか検問の時です。ほぼ必ず車検証と自賠責証書の提示を求められるので、これがないと疑われてしまうのですね。お前本当に所有者か?と。

そんなこんなで、一度車検証というものがどういうもんか、と確かめる意味でもその所在を確認してみるのも一興かと思います。

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