2009年9月4日金曜日

タイヤ

福野礼一郎さんというちょっと変わった自動車評論家の方がいます。自動車雑誌の中では老舗の「CG(カーグラフィックス)」という雑誌で「クルマはかくして作られる」という連載をしていました。個人的には購読をしていない雑誌なので現在も連載中かどうかは知りませんが、今までは別冊として再編集されたものが刊行されていました(現在3冊)のでそれらについては今でも読み返したりしています。

その中にタイヤを扱った回があります。取材先の会社はブリヂストン。そこには非常に興味深いインタビューが掲載されています。例えば扁平率の高低について、その他の条件が一定の時、低扁平率のタイヤは乗り心地に優れ、高扁平率のタイヤは操安性に優れる、とあります。そう、基本的に低扁平率のタイヤは乗り心地はいいはずなのです。
その理由はサイドウォールにあるそうです。中に入れてる空気圧の事もあるのですが、低扁平率のタイヤはサイドウォールが丸く、柔らかいので、地面からショックを受けた際にはサイドウォールがしなって衝撃を吸収するのだそうです。その逆で、同じ構造、同じゴム、同じ空気圧といった他の条件一定の高扁平率のタイヤは低扁平率のタイヤと比べると形状としての特徴としてサイドウォールが硬いので変な振れ方が少なく操安性に優れる、となるのだとか。

低扁平率のタイヤはトレッド面の剛性が高いので、タイヤを切ったとき、地面との角度の相違に負けることなく「オレはこっちに進むんだ」と自己主張をし続けてくれるので高扁平率のタイヤよりグリップはよくなります。面剛性が低いとこじる力に負けてしまうんですね。どっかの政党のようにブレてしまう、といってもいいかもしれません。
ただ、空気圧の設定を変えるなり、内部設計やゴムの厚みや種類を替えるなどしてサイドウォールの剛性を上げる手段をとれば「グリップは高く、ハンドリングもいい」という目標は達成できることになります。ただし乗り心地は悪くなりますが。

最近は随分と大径ホイールの車種が増えました。平成13年ごろに屋根の開くソアラが出たときは「トヨタ車で初の18インチホイール採用車」なんてことを言っていたかと思います。が、まあ、今では18インチどころか20インチまである始末ですからね。ただまあ個人的には「デカきゃあいいってモンじゃあないだろうに」と思ってるんですが。
でもそれだけで商品性がアップする、と営業部門からの突き上げが来れば開発現場も従わざるを得ないでしょうし、どうせすぐにホイールだけ換えられてしまうのであれば、先にそういうのをつけておいて、うちにお金を落としてもらうほうがいい、ということなんでしょうね。
ただ、先のように「あっちを立てればこちらが」という事はありますから、どうやってそういう辻褄を合わせて最適点を引き上げているのか、というところには興味はあります。

その屋根開きソアラの時にもうひとつ、ランフラットタイヤも出て来ました。当時は乗り心地が硬いなあ、と思ったものですが、最近は技術的にも随分とこなれてきた所があるようで、そういう通り一辺倒な感じではなくなってきているようです。過渡期な技術ではありますから仕方のないところもあるんですがね。またもっと良くなる可能性もあるわけです。
ただ、あのランフラットタイヤという奴は今までのタイヤ交換機では交換作業ができないそうなんですよね。硬すぎて。専門ショップでは対応機に切り替えている所もありますが、そのへんが少々懸念事項ですかね。
あと、高いこと。もう少し一般的なものになってくれれば値段もこなれてくるのでしょうけど、ちょっと今の金額じゃあなあ、と思っています。

1 件のコメント:

コロパパ さんのコメント...

以前にある雑誌で読んだことがあるのですが、日本での車のタイヤのパンク率は非常に低く、パンク率は3万キロ以上で1回、ないしそれ以下だったように記憶しています。
私も、ここ10年以上(その間3車種)パンクの経験がありません。
欧州やアメリカと違って、人気(ひとけ)の無い高速道路をひた走ることのない日本でランフラットタイヤって本当に必要なんでしょうか。