2008年7月25日金曜日

先日の日曜日は、兄貴に誘われていた「スターシップ・トルーパーズ3」を名古屋まで見に行った。まあ、兄貴に誘われての映画は大体名古屋方面まで出向くことが多いので、これはいつもの事。で、誘われるのもまあ、毎度というか、たまにあることなので、映画そのものを見に行くこともいつもの事。

で、「スターシップ・トルーパーズ」なんだけど、これはSF界の人にとってはハインラインさんの書いた超有名古典SF小説を原作とした映画。邦題は「宇宙の戦士」。ハヤカワ文庫で売ってる。おそらく世界的に見ても日本での人気は突出しているんじゃないかと思う。というのも、ハヤカワ文庫版「宇宙の戦士」には「スタジオぬえ」によるイラストが入っているからだ。なかでも「装甲強化服(パワードスーツ)」のデザインがカッコイイ。かくいう自分も、このイラスト欲しさに本を買ってしまったのはいうまでもない。
その中味なんだけど、しばらくは読まなかった。だって、冒頭にはパワードスーツが出てくるけど(この描写がまたカッコイイ)、その後はずっと出てこずに、新兵の教育過程の話やデュボワ先生の「歴史と道徳哲学(だったかな?)」の講義が延々と続くから。何度か挫折して読んだ記憶がある。

「スターシップトルーパーズ(めんどくさいので以後はSTと略します)」の映画化の話を聞いたときにはドキドキした。「あのパワードスーツが動くのか?」の一点で。見てみたらパワードスーツのカケラも出てこなかった。その点はがっくりきたし、「蜘蛛野郎」が「バク」に変わっていた。でもこの映画はうまいと感じた。原作のカケラをうまく拾ってあって「劣化コピー」ではなく、原作を元にインスパイアーされた創作物だと思った。CGも「CG使った」事を自慢したいのではなく、うまく映像造りの道具として使いこなしてあって、そつがなかった。
「ST3」も、これまたうまく続編として構成されていて、うまいなあ、と思わせられた。せっかく登場したパワードスーツ「マローダー」にデザインにはガックリきたけど、まあこれは仕方がない。何で「ロボコップ2」なんだと思ったが、よく考えてみたら同じ監督だったので納得した。


ここまでは前置き。何でこんなことを書き始めたかというと、「何で無差別殺人が止められないのか」という文章を見たので。この文章を見て「ST」の原作である「宇宙の戦士」を思い出したから。
作中で、主人公ジュアン・リコの通う高校の「歴史と道徳哲学」の先生であるアンリ・デュボア先生(退役軍人、機動歩兵・元中佐)は「制御された暴力」について、かなりのページ数を割いて説明しています。「暴力は歴史上、数多くの問題を解決してきた」とか体罰や鞭打ちについてとか。詳しくは買って読んでみて下さい。

おそらく秋葉原の加藤君にしても今回の菅野君にしても、「他者に置き換えた場合の自分が想像できない」ことや「自分以外が自分の世界に存在していない」と思います。
なんだかんだいって人間は他者と関わっていく事でしか存在できないものだと思うのですが、自分だけはその枠外にいる。つまり「誰でも良かった」であり「世間とうまくいかない」であったり。自分が他者に関わってもらえる存在になろうとする努力があったのか?と思わざるを得ません。自分が変わっていくしかないのに、と思うんですが。
そんな彼らにどうするべきなのか。
大学時代、一般教養の単位の中に法学がありました。教授の専門は刑法との事でした。その中で憶えているのは、日本の「刑」というのは「教育刑主義」だ、との事。つまりは法を犯したものを嗜め、社会生活に戻りうる状態にするための刑という、なんとも理想的なもの。でも、そんなので矯正できるものなのか?「三つ子の魂、百まで」なんていう言葉もあることだし。

そんなこんなで「宇宙の戦士」を思い出すのです。
彼の世界では鞭打ち刑が存在します。しかも公開の。悪いことをしたら叩かれる。「もうこんなことしちゃだめよ」なんて甘やかすことなどしない。暴力を推奨する訳ではないが、躊躇うことは無い。きちんと制御されたなかで行使される。ま、これがそのまま良いとも思いませんが、まったく無視するべきでもないとは思います。
市民権の大切さを言うのは分からなくもありませんが、軍人のみが尊いでは、戦前の日本というか2.24になってしまいますし。「ST」では、そのあたりはかなりパロディチックに描かれ皮肉っているようにもとれます。

鞭打ちで思い出すのは「パッション」。キリストの当時を映像化したものなのでしょうけど、あれは痛そうだった。ものすごく。荊の冠もそういうことかと思いましたし、実際あんなの見せられた日にゃあ、悪いことは出来んもんだ、と思うでしょうねえ。やっぱり肉食ってる人間のやることは違うわ、と思いました、実際。

罰する側は努めて公正明大であろうとしなければいけないでしょうし、罰せられる側は信賞必罰というか、きちんとその辺の線引きをしっかりするべきじゃないですかねえ。未成年だからとか、精神状態が、とかいう逃げ道は作るべきじゃないと思うんですが。



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