2008年10月14日火曜日

ランフラットタイヤ

安堂さん主催のHP「らかす」で、ランフラットタイヤについて触れられていました。おそらく氏の事ですからユーモアに包まれた格好で脚色がなされているのでしょうが、文中出てきた「若い男性(ディーラーで最初に電話口に出た人)」のような人も少なからず居るでしょうから、知っている限りのことを書いておくのも良かろうと思いました。


自分の経験の中で言うとランフラットタイヤが登場し始めたのは平成13年ごろの事だと思います。初めて納めた装着車は、あの屋根の開く電動オープンカーになった形のソアラです。
当時カタログにあった謳い文句では「とにかくトランクルームが狭いので、ゴルフバックを納める必要のある方はメーカープションの『ランフラットタイヤ』をお選びください。」となっていました。
最近はパンク修理キットでお茶を濁すクルマもありますが、基本的には「パンクをしても、ある程度の距離は自力で何とか移動できるような内容の装備品を備えていること」という内規か法令でもあるようです。
つまりソアラの場合は屋根を仕舞う必要上、スペアタイヤのスペースを犠牲にでもしない限り、トランクルームには余計な物など入る余地は無い、ということですね。このためオプション扱いとはいえランフラットタイヤが比較的速い時期に市場投入されたわけです。



さて、忘れないうちにそろそろ本題に入りたいと思います。ランフラットタイヤの一番の売りは、完全にタイヤの空気が抜けてしまった場合でも、そのサイドウォールのゴム層を厚く作ってあるおかげで100キロ程度は自走が可能である、ということです。

何でサイドウォールを厚めに作ってあるかというと、そこを厚く作ることでホイールのリム(ヘリというか耳というか)を保護しようということです。何でそこを保護するのかということですが、おそらくアルミホイールを想定しての事でしょうけど、アルミホイールは軽い(必ずしもそうでない場合も多数あり)のはいいのですが、てっちん(鉄製ホイール)に比べると材質として粘りが無いので、つまりは衝撃に弱い。特に直接大きな衝撃が加わった場合、ホイールそのものが割れてしまう場合もあるやに聞きます。
もうひとつの理由は、今時のクルマのタイヤというものは、その殆どがチューブレスタイヤだということです。昔はタイヤの中にチューブが入っていましたが、今はその代わりにホイールのリムとタイヤが密着することで気密性を確保していますから、ホイールが割れてしまうのは論外ですが、変形してしまってもその後の再使用が出来なくなる可能性が高いのです。
まあそんなこんなで、ホイールにゴム草履を履かせて、何とか最悪の事態を防ごう、という発想なのです。おそらく銃弾でパンクしてしまった時などを想定しているのでしょうね。


安堂さんのBMWが、どの程度のパンクであったのかは知る由もありません。が、おそらく途中から空気圧警告灯が点いた、という事や、真新しい釘が刺さっていた、という事から走り始めて間もなく釘を踏んでいたのでしょう。
おそらくその程度であれば、パンク時の対応は普通のチューブレスタイヤと同等の感覚でいいと思われます。つまりはトレッド面でのパンクならば修理が可能ということ。

ソアラでもランフラットタイヤ装着車には空気圧警告装置が付いていました。ちなみに、夏に規定の空気圧で調整してあった状態で、冬の寒い時に警告灯が点く位敏感でした。
想像するに、空気が完全に抜けてしまった場合の走行可能距離は、応急用タイヤに比べてランフラットタイヤのほうが短い事。また、100キロ程度は走れる、とは言っても路面状況によっては「絶対に大丈夫」という事を言い切れるのか?(つまりは「走ることが出来る」ではなく「走ろうと思えばできなくもない」という程度。あくまでも緊急用。)ということなのでしょう。なるべく早くに気付いてね!という意味で空気圧警告灯が付いているのでしょうね。

ちょっと話は変わりますが、タイヤというものは、あらかじめ想定された空気圧の空気が入ってこそのゴムの袋です。つまりは規定の空気圧分の空気が充填されいて、初めてトレッド面がきちんと地面に接地し、サイドウォールがパンと張りタイヤのケース剛性、その他を成立させています。
では、その空気圧が少ないとどうなるか。所定の性能を維持できません。たとえば、規定の空気圧ならば地面からの衝撃に対するタイヤの変形も想定の範囲内なのでしょうが、規定以下の空気圧になると、所期の想定以上の変形の連続はタイヤの発熱にも繋がります。つまりはゴムが劣化してしまう、ということですね。
特に完全に空気の抜け切った状態での使用はゴムの発熱もかなりのものでしょう。それに加え、タイヤの中に組み込まれているビードワイヤーなどのタイヤの構造物への影響も少なくないでしょう。それを考えると、完全に空気の抜け切った状態で使用してしまった場合には、距離の多寡はとりあえず交換を考えた方がいいのかな、と思います。
自分ならどうするか?うーん。とりあえず、あんまり距離を走っていない様なら、まず空気を入れてみて、タンこぶが出来ていなかったら(カーカスが千切れていないことを確認してから)恐る恐る乗ってみるってところかな。しばらくはあんまりスピード出さないようにして、タンこぶが出来ていないか観察は続けるでしょうね。
ただ、交換するのはいいんだけど、ランフラットタイヤを舐めているととんでもない目に遭います。何かって言うと高いんですよ、金額が。既出のソアラの場合(ブリジストンの18インチ)、4本で16万強(つまり1本4万くらい)かかりました。あんときには「え?」って自分の耳を疑いましたもん。しかも、サイドウォールが硬いのでおそらく、その辺の一般業者では交換作業が出来ません、というか実際断わられましたので、その時はメーカーの営業所に持ち込んで、そこで交換してもらいました。

ただ、さすがに日本国内ならば銃撃戦に巻き込まれることは滅多にないでしょうから、警告灯に気付いたら、なるべく早く任意保険に大体付いているであろう付帯サービスのパンク修理を依頼して、おとなしく修理業者の来るのを待っていたほうが無難かと思います。


ま、そんなところでしょうかね。
というわけで今日はこの辺でおしまい。

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