2008年10月19日日曜日

パッケージングと運転姿勢

コロパパさんのHPにて、運転姿勢や車のパッケージング、などについて触れられていましたので、私見も交えてちょっと。

文中、アテンザの主力市場が日本以外にあるから、向こうの人の体型に合わせているのでは?というところについて。
別にマツダを擁護するつもりはありませんが、個人的には「ま、こういうこともあるのでは」といった程度のコメントを。
基本的に日本向けのクルマでは交通事情がありますから当然右ハンドルで設計します。欧州ではイギリスを除く全て(?)の国が左ハンドルであるやに聞いております。
いきなり何を言い出すかというと、クルマというのはその運転装置の配置の関係上、左ハンドルに比べて右ハンドルのクルマは、少々運転席の位置が後ろに行きがちになってしまうということがあります。
コロパパさんは以前北欧の方にいらしていたことがある、という文章がありました。柴田自身は殆ど国外には出たことがないし、日本国内で運転する以上は左ハンドルは不便で仕方が無いので乗らないことに決めているので、あんまり自分の経験の裏打ちはありません。
が、左ハンドル車の場合、ホイールハウスと呼ばれる室内へのタイヤの膨らみをフットレスト(左足の)スペースとして利用することによりペダル配置を10cm前後、前方にずらすことが可能だと聞いています。
で、その辺の設計共用の辻褄を合わせるようにチルト・テレスコピックハンドルなどの位置の調整機構が採用されている、というのは穿った見方になるでしょうかね。

ここ数年、トヨタのFFのコンパクトカーは初代ヴィッツ、ビスタ・アルデオ、初代プリウスの頃を皮切りに軒並み150センチくらいの全高を実現してきました。こうすることにより、従来の身長の低いクルマで当たり前とされてきた、足を前方に投げ出して、シートを倒すという安楽椅子のようなシートポジションがばっさりと否定されたと思っています。(今でもそういう運転姿勢をとっている人は少なくありませんけども)
全高が高くなったことにより、床面と座面の高低差が大きく取れるようになりました。するとソファーのような座り方から事務椅子のような座り方に変わり、同時に膝の曲がりの角度が直角に近い角度となります。こうすることによって運転ペダルをエンジンルームの奥深い所に配置する必要がなくなりました。
このため比較的こうしたプロポーションのクルマは、運転姿勢が合わせ易い傾向があるように思います。つまり、右でも左でも適正位置で設計できるということです。ただ、自分的には、惜しいことにハンドルポストの位置(ハンドルの中心軸)がけっこう低い位置から突き出ているので、膝周りのスペースが少々窮屈になってしまっているのが残念な所です。
アテンザは、以前から比べれば背も高い車ではありますが、車のキャラクターもありますから、比較的低い(座面と床面の高低差があまり取られていない)ポジションで設定されていませんでしたっけ?これが理由のひとつかな、と思うのですが。

エアバックという装置があります。基本的には火薬を使って、その爆風で布製の袋を膨らませ、乗員のケガを低減させるのが目的の装置です。ただ、風船が膨らみきったその時に乗員の顔面を受け止めるのではカウンターパンチを受けた状態になります。このため、乗員の顔なり胸を風船が受け止めるタイミングは「既に膨らみきった後のしぼみかけた状態」が理想です。
理想的な運転姿勢といわれるのは、コロパパさんが仰っていたようにシートの奥深くに座っている状態で、手を前に伸ばした時に、ある程度余裕がある状態でハンドルの輪の上端が手首の辺りに来る位、と言われています。で、これをまともにやるとハンドルがかなり近い位置に来ます。でも、これがエアバックの設計時にも標準状態として設計されている姿勢です。風船の容量は大体運転席で60リットルくらい。助手席で120リットルくらいとされているようです。
先ほどの理想的な運転姿勢をとろうとすると随分とシートが前に来て、更にシートの背もたれもかなり立てた状態になると思います。そう。殆どの人はシートが寝すぎています。エアバックメーカーの人の話ですと背もたれの理想角度は21度くらいだそうです。もしや、と思った方は御家族の方に協力してもらって、写真を撮ってもらってから測ってみてはいかがでしょう?
では、シートが寝ているとどうなるか?つまりはシートベルトが肩から浮いている状態ですね。
エアバックが作動するような衝撃がクルマに加わった場合、まずクルマが行うのはシートベルトの締め付けです。とにかく乗員をクルマに固定しようとするのです。それでもシートベルトは乗員の重みで伸びます。そのシートベルトで支えきれなかったエネルギーをエアバックで吸収しようとするのです。
シートバックを立てて、シートに深く座っている人は、きちんとシートベルトが体に密着しているはずです。この状態ならば、さっきのように車がきちんと乗員を守ろうとする動きが効果を発揮してくれるでしょう。
ですがシートを寝かせて、座面にも浅く腰掛けている人は、シートベルトがうまく作動しません。いくらクルマが乗員を固定しようとしてもうまく固定しきれず、運動エネルギーが相殺されることなく前方に突っ込んで行きエアバックのカウンターパンチを食らうことになってしまうのです。つまり、エアバックは「きちんとした姿勢でシートに座り、更にきちんとシートベルトをすることによって初めて被害を軽減できる役目を果たせる」という性格のものなのです。


という事で、きちんとシートベルトはしましょうね。
警察はシートベルトを五月蝿く言いますが、個人的にはそんなことは行き過ぎたお節介だと思うんですよね。いくら言ったってやらない人はやらないもん。実際。
結果、その人が大怪我をしたところで自己責任じゃん、というのは酷い物言いなんですかね。それこそ保険の治療費の支払いもシートベルとしてなかったときは2/3とか、1/2くらいに削減するってくらいでいいんじゃないですかねえ。いい大人なんだから取り締まられるからシートベルトをするなんて恥ずかしいじゃない。そのくらいの結果責任は受け入れるべきなんじゃないのかなあ。とまあ、いつもの余分なことまで言ってしまいましたが、今日はこの辺で。

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