2008年11月24日月曜日

ディーラーとメーカーの関係

「ディーラー」というと、メーカー傘下の、少々敷居は高いがメーカーのお膝元として、きちんとした体制を整えている販売店というイメージが一般的のようです。

「のようです」というのは、柴田自身は学校を出てから、そのままディーラーの新車セールスとして就職してしまったので、世間一般の見方というか、外の人間から見たイメージが逆に想像できないのです。
おそらく「トヨタディーラーの人間にこういう対応をされた」とかいう苦情や意見は、その人にとっては「トヨタに無碍な対応をされた」というように映っているでしょうから、当然メーカーも気にはしているでしょうし、営業手法や体制に関するフォローも販売店に対してはしています。ですが、トヨタ資本が入っている販売店もありますが、多くはトヨタ販売店の場合、地場資本による地元有力(?)企業による経営であることが多いようです。この為、例えば古巣である静岡トヨペットは静岡鉄道資本ですし、カローラ東海やネッツ東静岡なども同様に静岡鉄道が親会社です。他にはネッツトヨタ浜松は遠鉄資本だったりします。静岡トヨタはスタートは地場資本だったらしいですが、一時怪しかったらしく、その時以降は県内では珍しいトヨタ資本の販売店です。

昨夜、嫁さんとワン公達の散歩中にこのような話になったのですが、以上のような経緯ですから、メーカーにとっては販売店こそがお客さんな訳です。
つまり基本的な姿勢としてはお客さんへの助言やフォローはするが、それ以上ではないということも言えます。つまりは強気なお客さんというか、実績を持っているお客さん(ディーラー)は、メーカーの意向はおかまないなしで販売店統合(つまりはトヨペット店とか、カローラ店という垣根を実質無視しているところもある)をしてしまう所もあるし、メーカーの主催する研修には参加をしない、というところすらあります。
だから例えば新車発表の時とかにメーカーがTVCMとかは打ちますが、あれはディーラー支援であって、新車発表会の告知とかは、それとは別にディーラーで独自にCMを打ったりしています。

嫁さんに「それホント?」って聞かれたのはカタログとか幟や店内POPなどの販促物について。
実は、メーカーのお得意さんである各ディーラーは,色んなものをメーカーに斡旋されています。例えばカタログはメーカーから100冊いくらで買っています。さすがにセルシオやらソアラクラスになるとカタログもお高いので、確かあのへんは20冊単位だったように記憶しています。その他、新車発表会の案内告知DMそのものや、それ用の封筒、新車の印刷されたボックスティッシュやイベント用のお土産とか、イメージキャラクターの飾りつけなどもそうです。色見本のプラモデルもありましたが、あれもそうでしょうね。そういえば初代イプサムの時に起用された「イプー」のぬいぐるみとか、スタッフジャンバーもそうだったはずです。

メーカーは各種商品を潤沢にそろえていますから、売るものには事欠きません。例えばコンピューターシステムもそうです。サービスが使っているシステムももちろんですが、セールスが使っているものもメーカーからシステムごと買っています。元々は京都のほうのディーラーが独自システムとして作ったものをトヨタが買い上げ、システムを整備して他販売店でも運用できるように仕立て直したものだと聞きます。

ただ、ディーラーのお偉いさんという方々は今までいい時代を過ごしてきたセールスがその席にいることが多いので、言っちゃうとあんまり深く物事を考えるのが不得意な方が多いらしく、しかもサラリーマン重役な為に、どこかの国の官僚のように「使うことが大好き」だったりするので困ったものです。今そのツケを払っているようなのは、たぶん気のせいなのでしょう。そう願いたい所です。

その「深く考えない所」が遺憾なく発揮された事例がありました。初代イプサムがマイナーチェンジを受けた頃の事だと記憶しています。なぜかトヨタ販売店で、あのセガが開発販売していたゲーム機である「ドリームキャスト」を売っていたことがあるのです。
当時、実際の販売員である自分たちも「何でドリキャス?」と首を傾げました。うちらクルマ会社だよ、と。おそらく売れれば儲かると誰かさんに吹き込まれた役員連中が「ウチにはセールスが腐るほどいる。販売会社なんだから。あいつらに売らせればいい。売ってくるのはあいつらだ。」とまあ、こんな具合の経緯だったのでしょう。そのうち営業所にも5セットだったか10セットだったかのドリキャスがやってきて倉庫に詰まれていました。当然の如く、まったく売れなかったので、そのうち新車販売の「ご成約プレゼント」として、複雑な顔をしたお客さんの両手に抱えられ幾つかのドリキャスは去っていきました。残りは?多分かなり大量に残っていたのだろうと思います。そのかなりの部分は噂によると秘かに持ち去られた(従業員に)ようです。だって、在庫管理なんかしてなかったもん。そういえば所長も買わされてたなあ。
トヨペット時代の最後期に労働組合の端役をしていた頃、月イチくらいで本社(静岡)に行っていました。よく販売促進部というところの倉庫を間借りして作業や会議をしていましたが、あそこに幾つか忘れ去られたようにドリキャスがあったなあ。

タイムリーなもので言えばカレンダーもメーカーから買っていたそうです。8月くらいになるとメーカーから幾つか見本が送られてきて「どれにしますか?」とくるわけです。で、大概そのなかで一番安いのを選んで、「じゃあ、これを1万本(発注数は不明)」という具合。
でも、仮に1本300円として発注数1万本だと300万。で、静岡県内にはトヨタディーラーは9社あるから平均発注数を6000本としても1620万円。いい商売だなあ。全国のディーラーのがまとまれば、静岡県が全国の5%市場って言うから、その20倍として3億超の売上。むむむ。何気にすごいな。さすがトヨタ、商売上手だわ。

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