2008年11月26日水曜日

査定というもの

現在のように、一人1台という保有台数に近づいてくると、新車販売という形態には必ずといっていいほど下取車が発生するのが普通です。この下取車という存在は、今は管理がうるさくなってきましたが、昔は新車セールスの内職・小遣い稼ぎの源泉として、かなり大掛かりにやられていたようです。

「ようです」というのは、自分がセールスになった頃は、その内職をかなり派手にやってきた方々が本社の課長とか営業所長、各地区の部長職につき始めた頃で、そういう手口を知り尽くしている方々が、後進の者には「やるな」と。当然そんなことをやられたら自分たちの退職金の原資が減ってくることにもなるので、先の見え始めた時期になって口々に「内職禁止」を掛け声として言い始めたのですね。よく「昔はさんざん自分たちがうまい汁を吸っといて、今になってそれを言い出すか・・・・・・、」なんてグチをいっていた人もいましたが。

もちろん自分なんかは、そんな裏家業を覚える暇もないうちにそんなことを言われていたので、うまい汁を吸うどころか散々その尻拭いをさせられたものです。
よく「溶かす」とか「流す」という隠語が当時使われていましたが、大体いい加減な人ほどそういう事(下取車を自社の中古車センターに入庫せず、自分の知り合いの中古車屋に買い取ってもらったり、自分のお客さんに直接売ってきてしまうこと)をやっていたので、名義変更をしないまま、車だけ横流しをしてしまうことが多かったんですね。で、そういう人たちが辞めた後、担当引継ぎでお客さんを回っていると「以前下取りに出したクルマの自動車税が未だにうちに来るんだけど、どうなってるの?」とくる訳です。
まあ、そういうことを散々やって私腹を肥やしていた方々が今では部長さんとか役員さんになっているわけですから、大したものです。まあ、誰というつもりもないですが。

話が本筋から外れてしまいっぱなしになるのでこの辺で軌道修正。

今でこそ車の買取屋さんというのも一般的になってきましたが、以上のようなことが平然と行われてきたことから判るように、以前の状況では新車・中古車に関わらず、下取車は査定金額で下取してもらう、というのが一般的な販売形態でした。
もちろん下取車が横流しされる場合は、査定金額分が横流し金額で充当されていて、お客さんへの請求金額は変わっていない、ということですね。最初はお客さんとの契約書は下取有りになっているのが、後日契約変更で下取無しに変わっている、というパターンが殆どですので非常にわかりやすい犯行手口だったですけど。この手がばれて、会社のお金を横領した、という罪に問われて何人かクビになった人が実際にいました。嗅覚が鋭くて、その前に辞め人もいましたけど。

さて、査定金額です。
今では一般化してきた中古車オークションでの判定基準に、以前の査定基準が迎合した形になってきています(減点基準が大まかになってきたという意味で)。以前の査定基準は、先ず標準状態と呼ばれる車の状態と年式・型式別の基本価格という数字がありました。
大雑把にいえば、基本価格は標準状態だった場合のクルマの基準仕入れ価格といったところです。つまりは何年式のこのクルマはいくらで仕入れますよ、ということです。
ただ、その標準状態と呼ばれる車の状態なのですが、「車検は3ヶ月以内」「車の外装・内装は無傷であること」「機関は良好であること」「事故などによる修履歴が無いこと」「装備品に欠品・欠陥・故障等のないこと」といった、現実的にはありえない車の状態を想定しているので、基本的には何らかの減点があって当たり前(つまり仕入れ価格が値引かれていく)という状況でした。
減点とは簡単に言えば「商品価値を回復するのに要する修理費・材料費の実費分」で、どんなにきれいな車でも「総磨き・ルームクリーニング」は減点しておくこと、といった内規なんかもありました。つまりは、あるべき仕入金額から商品化するまでにかかる経費を差し引いた金額が査定金額というものでした。お客さんに「そういう車(標準状態のクルマ)を下取りに入れなさい」といっているようなものですね。
で、逆に言うと査定における減点金額というものは「そのまま修理費の実費」という事にもなるので、これを大雑把に押さえておくと、事故をしたときなんかの「ヤマ勘見積り」にも役立つのでけっこう便利です。個人的には。
ただ、あくまでも最低限の実費ということ(つまりは叩かれた外注金額)なのと、この基準が平成11年頃のものなので、もういい加減工賃や部品代も値上りしているため、若干の修正が必要(×1.2とか1.5くらいか?)な所は注意点ですね。

次回からはもう少し細かくこの査定基準を説明していこうと思います。
それでは。

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