2010年1月8日金曜日

プリウスの売れ行き

プリウスの年間販売台数が20万台を超えたとの記事を目にしました。何はともあれおめでとうございます。ひねくれた目で見れば浮動票をかき集めた民主党300議席突破にも似た現象化とも映りますが、少なくとも単一車種で月産2万台オーバー何ですから大したものです。
儲けを無視した大廉売だのなんだのという批判もあるようですが、それはそれ、他所様の財布の中味なんですから外野のとやかく言うことでもないでしょう。


ただこの販売台数を見て、自販連のページも見て思ったのですが、本当の意味での単一車種で月販3万台弱という数字は本当に久方ぶりだよなあ、という感慨があります。もちろん本当の意味というのはカローラの実質4車種とか5車種の統合数字を揶揄しています。
それを思うと初代ヴィッツ以来なんじゃなかろうか?と思っています。確かあの頃は25000台/月くらいの数次をコンスタントに売っていた様な?
近くの販売店にセールス研修で来ていたらしいトヨタの社員(トヨタ自動車本社の社員という意味)があの当時「1ヶ月で5台売れた」という事を言っていたよ うです。ただ本職の人間から言わせれば、買いにきている人を相手に「ワンプライス販売」で売っていただけなんですから、まあ売れて当然というか。

それよりもそんな売りっぱなしを素人にさせて良いのか?という気もしますけどね。


当時この初代ヴィッツの売れ行きを横目に「プラッツ」などというセダンを売っていた(あまりに売れなくて「プラッツ」という商品名は1代で消滅。現在は 「ベルタ」という名前に替わっていますが、これも鳴かず飛ばずのようです。)訳ですが、ふと思ったのはバブルの頃のマークⅡの販売台数です。確かあの頃の マークⅡも月販2万台を超えてカローラに肉薄していたわけで。


当時のマークⅡの販売現場を直に目にしているわけではないのですが、すごかったらしいです。以下は、当時トヨタプリティ(女性営業職)をしていた某さんから聞いた話です。


展示会は毎回大盛況。

セールスは遠巻きにお客さんを見ているだけ。

カタログが欲しい人は山積みになっているから、勝手に取って行ってくれ、という状態。

セールスが動くのは「下取の査定をして、見積りを出していただきたい」という申し出があってから。

値引交渉も端数を切ってくれるだけの、超強気商売。それ以上を要求されても「ダメならいいです」という感じだったのだとか。

マークⅡ3兄弟の競合話は完全スルー。チェイサー・クレスタが気になるのならそっちを買ってくれ、くらいの雰囲気だったようです。

若造のセールスには自身の自家用車として社員販売してくれなかったとのことです。生意気すぎるという理由で。

あまりにも商品力が強すぎたので、業者販売でもそのまま強気の商売をしていたらしく、この頃を境に静岡トヨペットはものすごく業者から嫌われる販売店になったようです。


私も新車のヴィッツを何台か売りました(プラッツを買ってくれる話にならなかったので、仕方無しにネッツのセールスに話を紹介した、という事)が、確かに 当時のネッツ店の店内はそうした雰囲気がありました。商品力だけで売れていくクルマって楽でいいなあ、と心底思ったものです。

バブル期のトヨペット店はマークⅡのほかにコロナも結構売れていたようですし、コロナEXIVというモデルもありました。あとはセルシオですとかね。あれ なんかも「僕お金持ってます」という人たちが手を上げて、列を成して並んでいたような状態だったわけですから、そりゃあセールスは楽だったろうなあ、と思 います。だって見込み客探しが要らないんだもの。


ただ、プリウスの場合は4系列の併売(トヨタ・トヨペット・カローラ・ネッツ)ですから、それ相応に熱量は下がるでしょうねえ。
でもまあ、昨年12月の数字は異常だったとしても、一昨年の12月の販売台数と今年12月との比較で言えば微減とはいえ、それでもほぼ同じレベルの販売台 数(国内では)をマークしています。売れない売れない、というセールスの愚痴はそろそろ言い訳になりつつあるという状況でしょうかね。

2 件のコメント:

コロパパ さんのコメント...

hiroさんから昔、ハリアーを買ったとき。
正直な話、冷やかしでトヨペットに行ったんですよ。で、たまたま目に付いた初代ハリアー(確かにかっこよかった)を見ていたとき、hiroさんに気付かれ、営業所にある納入が決まっていたハリアーを見せてもらいました。
何となく気分的に盛り上がっちゃって、買っちゃいました。試乗もしていません。その時乗っていたカルディナはまだ初回車検前だったんですけどね。
セールスって本来的には能力というか才能が必要ですよね。私には絶対出来ません。

hiro さんのコメント...

コメントありがとうございます。

以前のコロパパさんのブログにも書かれていましたよね。「何時の間にやら買ってしまっていた」って。あの文章を目にしたとき、実は少々複雑な思いがしたものです。

個人的な思いですけど、「お節介になり過ぎない、重荷にならない、でも必要とされる営業でありたい」という気持ちがあります。
この伝でいくと「果たして当時、本当に必要とされた営業であったのか、押し付けになっていたのではないか?」という不安がよぎりました。

こういう思いがありますので、正直売り込みにいく、という事はほとんどした事はありませんし、頭を下げるお願い営業というものは大嫌いなので、絶対にしませんでした。また親戚連中に売って回るということもしていません。声がかかれば行きましたけど。



基本的には「押し」と「引き」のどちらが優勢か、という見極めだと思うんです。この方は欲しいと思っていて頂いているのか?結論が出せないのなら、何がネックになっているのか。それに対して、営業職にある自分に何が出来るのか、してあげられるのか。

時代の雰囲気として「このクルマは歓迎されている」という気分を読む、という事もあるんですけどね。例えば当時の初代ヴィッツには明確にそういう雰囲気があり、説明の必要のないままにこの車が欲しくなる魅力に満ち溢れていました。

営業の才能ですか?私にあるものとすれば、上司の追及にメゲナイ、左右されない、とぼけ通す能力だけだったんじゃないですかね?