2009年12月12日土曜日

無印良品

小学校高学年の頃か中学校に行っていた頃、当時浜松にもあった西部百貨店の一階に「無印良品」がやってきました。初めて無印良品の品物に触れたときの感覚はよく憶えています。

基本的には「シンプルでよいものを、お安く提供するんだ」というラベルにかかれた一文の裏にあるメッセージは新鮮でした。「漂白剤の使用を抑えたか ら...」「パッケージの包装をシンプルにしたので...」「大きさが不揃いの物も使用しているので....」「仕上げ行程を簡略化したので....」な どなど。
シンプルだけど質素じゃない。虚飾を配して素材そのものを切り取って魅せる手法は他の商品とは一線を画した質感をまとっていました。

その後、どのくらい無印良品が西部の中に在ったのかは記憶に無いのですが、何時の頃だったか西武百貨店が浜松から撤退してしまったので、何時しか無印良品のこともすっかり忘れていました。

すいぶん経ってから無印良品のことを思い出したのは、とある雑誌ライターの方が、その記事中で無印良品のことを絶賛していて、室内の事務用品を「無印良品」で統一している、という事を書いていた時くらいでしょうか。ああ、まだ無印ってあるんだ、位の感覚でした。

ところが、浜松の志都呂にジャスコが出来た時、そこのテナントに無地良品が入っていると耳にしました。嫁さんはジャスコフリークですから「見に行こうか?」と聞いて嫌だという返事があろうはずがありません。



で、久しぶりに見た無印の印象は?




たしかに、素材感、シンプルを前面に押し出した商品構成は以前の感覚と変わりはありませんが、何か妙な違和感が?????





何気に値段が高けーぞ?しかもそんなに質がいいとは思えないものまで。


ん?これなんか生地がペラペラじゃん。うーん、この手触りじゃあそれほど物がイイとは思えんなあ。


なんか微妙に昔見た商品コメントとはニュアンスが違う謳い文句が多いなあ。


あ。これなら良いかも。え?17,800円?オイオイ。そんなにするの?




と、まあこんな感じで正直「買うもの、買える物、欲しいと思うもの」が本当に少なくなりました。

勿論、昔と同じことをやっていたって進歩はありませんが、それでも、少なくとも私の中では一世風靡をしていた無印良品の商品群の、あのメッセージ性とバウ ハウスにも似たデザインコンセプトはひとつのブランドになりました。おそらく他の人も似たり寄ったりの印象を持ったからこそ今に続くブランドになったのだ と思います。ただ、今の商品群は「シンプルさをデザインされた商品」になっている気がします。

元が安いものがそれなりの値段で売られ、それを買っているだけならば、それは値打ちのある買い物にはなりにくいでしょう。
良い物がそれなりに高価である事は致し方のないものではありますが、それでも売り手の工夫で値段が抑えられたものならば、それはお買い得な商品に成り得ます。無印にはそういうことを感じさせる雰囲気が在りました。だから好きでした。
でも、今の無印にはそれが希薄です。演出されたシンプルさ、素材感は値段を引き上げる手段になっているような気配が濃厚です。

私のお客さんで、麻の生地を主に扱っている方がいらっしゃいます。無印も結構麻生地を使った商品がありますからやはり接触の機会は少なくないようです。そ うして耳にしたお話を私の中で総合すると「店頭価格を一定に据え置き、その中で自分たちの利益を出そうとする為に国内の製造業者と中国の製造業者が天秤に かけられている」といった印象を受けます。実際、あそこの衣料品や生地関係のラベルを見ると「中国製」と書かれた物ばかりなんですけどね。




そんなこんなで、私の中の無印の印象は「値段の割には結構値付けの高い商品が多いブランド」という所に落ち着きかけています。
以前は深津さんのデザインされた壁掛けCDプレーヤーなどもあったようですが、そういうデザインに走ったものより発足当初の、素材感溢れる、手垢のついていない感じのするのが良いなあ。

ホームセンターっていうのも、当初はそうした素材感溢れる感じがしたものですが、最近はここでも単なる安物感が漂う所になりつつあるのは寂しい所です。考えてみるとシンプルと安物って似て非なるものなんだけど、簡単に安物に転げ落ちて行ってしまうんですよねえ。

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