2009年3月30日月曜日

命の値段





損害保険分野における命の値段の算定はかなり大雑把です。こと自動車保険においては。
大体なんとなく対人無制限、とか人身傷害5000万円とかやっていませんか?

これが生命保険分野になると直接「保険料」という保険商品の金額にもろに関わって来るし、いまだに基本的には生命保険のおばちゃんはこの「死亡保険金」の総額を売っている(競っている)ので、目の色変えて「最低5000万円は欲しいわよ」なんて言ってきます。

人は必ず死にます。これはもう、致し方ないことです。柴田なんかは以前「35まで生きていられればいいなあ」と言っていましたが、いつの間にやらもう今年の12月で40にならんとしています。もうこれは余生と割り切るしかないでしょう。だからある程度サバサバしていられるのです。
子供でもいればまた変わるかもしれませんが、それはそれで彼らの人生ですから、いつまでも関われる訳ではありませんしねえ。ま、嫁さんは100才まで生きる気満々なようですけど。確かに早いうちの終末は心残りと言うか「残念」は有るでしょうけど、そこでジタバタあがいても仕方が無い、と半ば割り切っています。その時になってみないと分からないこともあるでしょうが。

さて、話は途切れました。死亡保障の事です。
確率から言えば必ず人は死ぬ訳ですから、いわゆる「終身保険」は、最後には支払いが必ず生じる保険です。つまり保険料が高い保険となります。イメージ的には30歳加入、60歳時支払い終了、死亡保障金額1000万の場合で死亡保障金額の半分強を積み立てている、というイメージです。おおよそ600万強という感じでしょうか。月払い的には17000円台というところ(あくまでイメージです。健康状態や予定利率でも保険料は変わります)。60で保証はいらない、もう止める、となればこの600万円強に30年分の利子がついて(純粋な保険料分は引かれますが)解約返戻金として返ってくる、というわけです。保険会社としては厚生年金のように「その時になって考える」わけにはいきませんから、いつか必ず死んでしまい支払わなくてはいけなくなる「契約者人数×死亡保障金額」分のお金を確保しておかなくてはなりません。

それとは違って、その時その時の死亡率から保険料を計算しておく掛け捨ての保険があります。いわゆる定期保険ですね。もちろん若くして、という方の方が少ないですから若いうちは保険料がバカ安です。
基礎データは4年に一度の国勢調査です。これで何歳の男性は1年間に何人死亡した、というかなり確度の高い情報が出ていますので、これを元に「生命表」と言われる統計データが公表されています。これを元に各保険会社は保険料を決めています。ちなみに生命表自体は公開されているので総務省だかのHPに行けば見ることが出来ます。
さて、大概おばちゃんたちはこすっからいので10年単位でこの定期保険を区切ってきます。こうすることによって、若いうちの保険料が安く、しかも保障金額は高額に設定できるので売りやすいのです。
「あなた社会人になったら3000万円くらいは入っておかなくてはダメよ」なんて、扶養者もいないのに何がダメなのか分からないうちに加入させられてしまっています。ここに加入させられた本人が言うのですから間違いありません。


これらに対して損害保険分野での命の値段はとても安くなります。なぜなら損害保険の場合は1年契約が主流で、しかも必ずしも「死ぬ・殺してしまう」ことはありません。
もちろん交通事故データには敏感ですから、交通事故死亡者何人、ケガ何人、という統計は気にするでしょうけど、実際の所は強制保険である「自賠責保険」の死亡保障3000万、ケガ120万、の範囲内で収まってしまっているケースがほとんどです。あくまでも自動車の任意保険は「上乗せ保証」が基本です。自賠責の範囲で保障金額が収まっている事故の場合は任意保険で支払う部分はありません。確かに高額賠償の例はありますがケースとしては非常に稀なので大きく保険料に響くことは無いのです。
これは実際の話ですが、親戚のおばあさんが交通事故で亡くなった事があります。で、数年後そこのおばさんの話で「確かにあの時3000万円貰ったが........」と(おそらく)ついぽろっと言ってしまったのを聞き逃しませんでした。ということはあの事故は自賠責だけで終わってるなあ、と思ったものです。

そんなこんなで、いくら「無制限」保障とはいえ実際にそれほどバンバン支払っている訳では無いので対人無制限の保険料はそんなに高くないのです。代理店ならば保険料の内訳という画面が見れるはずですから、そういう機会に確認してみるのもいいでしょう。
では人身傷害はどうか。基本的には過失割合関係なしに自分のケガの治療費その他がでて、という内容なのですが。

先日見積を作った方がありましたが、その時に旦那さんからは「なるべく安く」という話だったので3000万円で見積を作りました。人身傷害保険の最低保険金額は3000万円だったからです。ところが奥さんから「他社は5000万円で作っていますが、3000万円の根拠は?」と聞かれました。もちろんそれが最低金額だからです、とお答えしたのですが、次に言われたのは「それで足りるでしょうか」。

まあ、足りるも足りないも、基本人身傷害保険は「相手保険会社から支払われるべき保険金」をも、取り合えず立て替えてくれる保険ではあります。あくまで支払われる保険金は従来の「逸失利益」の分であったり慰謝料の上乗せであったりという分で、5000万円加入していたから黙っていても5000万円くれると言う訳ではなく、
逸失利益その他の「事故をされたことによって蒙った経済的損害」の総額から、相手側から支払われる(支払われた)賠償金を差し引いた差額を上限、保険設定金額までという内容です。
まず相手側からの賠償金があるわけですし、治療に関しては健康保険も使える。もし最悪お亡くなりになったとしても自賠責3000万円+逸失利益や慰謝料その他分。それ以外にも実際には自身の生命保険金が加わるわけです。
自身の任意保険での人身傷害は慰謝料などの算定が甘い分(1日4,200円
×2の所を×3という、50%プラス分のところ)の上乗せや過失割合による相殺分ですから、そこで3000万を5000万に引っ張るのは少々大変な気がしてなりません。やっぱり3000万円で十分だよな。やっても搭乗者傷害を加えておくくらいかな。


今書いていてふと思い出したのは平成16年3月のバイク事故のこと。あれって、当時誰も言ってくれなかったので今の今まで気がつきもしませんでしたが、自賠責の被害者請求が出来たんじゃないか?後で確認してみよっと。多分もう5年も前の事だから時効って言われるだろうけど。
そういうの思うと、やっぱ半端モンの代理店じゃあダメだよねえ、というか役立たずだよなあ、と思わずにはいられません。本当の本物になりたいものです。

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