2009年7月16日木曜日

陽子線治療

しばた新聞手配り版の配達も何とか終わり一息ついたところで、一つこういうセミナーがあるということで行ってまいりました「陽子線治療セミナー」。

早い話が「ガン治療法」の事です。

例えば今までの治療方法としてメジャーなものは「外科手術」によって患部を摘出・切除するであり、抗がん剤による治療であったり、放射線の照射によって患部を焼くといったものであるように思います。
いずれも「何らかの方法」によってがん細胞の活動を絶つことを目的とした手法なわけですが、各手法に共通して問題になるのが、がん細胞に到達するまでのルートとなります。

がん細胞の摘出・切除に限らず、体への侵襲という事は大きな問題というか壁となります。
例えば外科手術とは、とある家の中にある胡椒の瓶を取ってこようとする時に「パワーショベルでもって家の壁を壊し、おそらくこの辺というあたりをごっそりと掬ってくるようなもの」です。もちろん一番いいのは、きちんと家の玄関から「お邪魔します」と声をかけつつ、靴を脱いで台所に行き胡椒の瓶だけを取ってくる方法です。ただこれが「出来ない・難しい」。
ウチの父ちゃんは先年、前立腺がんのため、オチンチンの大半と玉を切除されました。無論本人の了承の下の行為ではあったのでしょうけど、オチンチンのように体外に突出している物体の中のがん細胞の切除でですらそうです。もちろん転移を恐れてのことではあったにせよ。
出来れば術中は病院に居てほしいとの本人の言葉もあり、待合室に待機していました。術後の医師からの説明も聞き、実際に切除されたオヤジのオチンチンと玉も見ました。仕方ない事とはいえ「あーあ」と思ったものです。いろんな意味で。

ナノマシンの医療分野への応用に随分期待がかけられている旨の文章を目にしたこともありますが、これも体の中の健康な組織を傷つけることなく患部まで到達し、切除・投薬等の治療行為が出来るのではないか?という期待のもと、と聞き及んでいます。
薬による治療行為はごく一部の部分のものの為に体全体を薬浸けにしますし、強力な細胞に作用させるにはそれなりに強力な薬剤も使うでしょう。無論、その副作用も懸念されるところです。外科手術をするにも、生きたまま、痛みは抑えるにしても言葉通り「体の中をまさぐられる」訳ですし、患部に到達するまでにはそれ相応の通り道の確保もあり、転移を恐れての周辺部位の切除も、進行具合によっては相当の部位に及ぶでしょう。
例えば乳がんなどでは乳房だけではなく胸襟や脇にあるリンパ腺までが切除対象部位になってしまうのだとか。快方に向かうのが第一条件ですから求めるものが多岐に亘るのも酷な気はしますが、それでもこれでは腕を上に上げることにすら難儀な動きとなってしまうようです。



それらの事を念頭に置いた上で陽子線治療についてなんですが。
長い前置きにもあったように、陽子線治療とはすなわち「がん細胞へのピンポイント攻撃」を行う為の、今現在有力視されているらしい(僕は医療関連の当事者ではないので)ツールです(だそうです)。

ものすごく大雑把な印象でいうと「水素イオンを光速の70%程度まで粒子加速器で加速させると、体内の35センチ程度のところまで水素イオンを到達させることが出来るのだとか。あらかじめ体内のどの部位にがん細胞があるのかを厳密に特定したうえでピンポイントで加速させた水素イオンを打ちこみ、がん細胞だけを潰す(焼く?)、のだそうです。
こうしたピンポイント治療の為、基本的に入院を必要とせず、治療時間も実質10分程度、施術直後も特に生活に気をつけることもなく、通いでいいのだそうです。


何でこんなことを保険会社主催で代理店相手のセミナーを催したかと言うと。

この粒子加速器を使用した治療設備による陽子線治療の治療費ってものすごく高いんです。治療部位や機器の使用回数、地方の所轄官庁の意向によっても違いますが概ね200万超かかるそうです。
もっとも、新規施設建設に100億。減価償却なしの施設維持費だけで年間8億ということだそうですから、これでも大バーゲン価格らしいですけどね。一応、採算分岐点の治療患者数は年間で400人(逆に8億円を400人で割ると上記の金額くらいになる)だそうですが、色んな理由で患者数がそこまで集まらず、静岡の国立がんセンター実績で年間150人に満たない程度です。

ただこの治療方法は、保険でいう「高度先進医療」として認められている療法ですので、「高度先進医療特約」なんかがついている医療保険ならこの200万オーバーも「保険で賄える」治療方法になります。ただ、残念ながらこの特約の登場はそんなに前のことではありませんし、新たに特約くだけを付加できる、としている医療保険を寡聞にも知りません。ということで、新たに入るしかない、というところが狡すっからい所です。医療保険のずるい所ですね。とにかく後になってからのほうが遥かにいい特約や保証が開発され続けている、という。


そんなわけですので、とりあえずはあちこちでこの「陽子線治療」って知っていますか?という宣伝だけをしてみることにしました。
先ずは、こういうものがある、という事だけ知っててもらえれば本人の選択肢も増える訳ですしね。あと、それをどう生かそうが、それは聞いた人の自由ですし、それ以上のことを期待もしていないし。
そんなわけで、今日の記事は「先ずは、ご紹介」をさせていただきました。

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