2009年12月3日木曜日

リーフに関する疑問と不安

ゴーンさんの鼻息が荒い。元々鼻の穴の大きい人ではあったようですけど。

しばらく前にゴーンさんは電気自動車「リーフ」の試作モデルをお披露目して、来年に市販しますとぶち上げました。
曰く「ハイブリッドはそれでも二酸化炭素を出すからダメ。未来は電気だ。」ということだそうですが、その電気を発電するための熱源に全く触れていないこと もチャンチャラおかしいのですが、それ以上に「ガソリン自動車と同じランニングコストにする」とも言っちゃっいました。日産大丈夫か?というより日産じゃ なくてもうルノーか。



随分前にも電気自動車は存在しましたし、研究開発自体も進められていた筈です。「たま」とかね。でも実現というか実用化、一般化はしませんでした。答えは もちろん、ガソリンエンジンを備えた自動車の優位性が揺らがなかったからです。エネルギー源としてガソリンがいかに優秀だったか、と言い換えてもいいかも しれません。つまりは

1.エネルギー密度が高い。
2.持ち運びに便利な液体であること。
3.残量が減れば減るほどエネルギータンクが軽くなる(より燃費がよくなる)。
4.残量がわかりやすいこと。
5.比較的安全性が保持しやすいこと。    などなど。

上記の条件を見ると、電気はことごとくそれらの条件いはそぐわないことが判る筈です。まず第一に電気は貯められるものではありません。


電気を保持する手段として電池やバッテリーがありますが、あれらは電気を貯めている訳ではありません。基本的に電池・バッテリーとは「電気が発電されたが如き化学反応をする化学プラント」というのがその実態です。
つまり効率よく電気を溜め込み、また放出することが出来る電池は「化学反応が活発に起こる、又は起こしやすい構造・構成」ということでもあり、いってみれば危険物質の塊という側面も持ち合わせるものとなります。
このため、常に電気自動車というものは、そのバッテリーの性能如何に左右されてきました。また、今までの経緯だけでいうなら「高性能バッテリー」が存在し なかったという一点で、電気自動車というものは常にその大体的な開発が期待されていながらも日の目を見ることが無かった存在でした。


それが昨今の原油高騰のあおりや石油採掘量の頭打ち、二酸化炭素による地球温暖化(真偽はともかく)、ガソリン自動車の販売不振等の動きを受けて「地代は脱二酸化炭素・脱ガソリン内燃機関」というセールストークに流されているやに感じます。
トヨタ・ホンダはハイブリッドシステムの製造技術や基礎技術を持っています。現時点でハイブリッドはひとつの潮流になりつつありますから、これを生かさない手はありません。
ただ、日産は一時「ティーノ・ハイブリッド」を発売していたにもかかわらず、その後のルノーによる買収劇やゴーン劇場の余波を受けてハイブリッド開発の手 を止めてしまいました。つまり今ハイブリッドの波に乗ろうとしても乗る手立てがありません。また今さらハイブリッドに手を染めようとしても基礎技術の特許 はトヨタ・ホンダが抑えているでしょうからコスト高になることは必至です。

おそらくそういう経緯の中での「電気」頼りなのでしょう。

そういう目で「リーフ」を眺めると、リアセクションはベースになったらしいティーダの骨格そのままな事が伺えるシルエットです。フロントはなんだかとって つけたようなアンバランスなボリュームで、いかにも「ここだけ付け替えました」的な違和感がムンムンです。多分実際もそうなんでしょうねえ。

「燃料電池車」という話も有りました。基本的にこれはバッテリーに電気を貯めるのではなく、燃料電池によって「その場で発電」しようとするシステムです。つまるところ電気自動車の一種ですね。
ですがなかなか厄介な所があり、水素は持ち運ぶにも貯蔵するにも厄介な物質です。そのくせエネルギー量が少ない。
じゃあ、ガソリン改質であったりアルコール改質であったりを考えたりもしたようですが、結局それでは二酸化炭素が出てしまううえ、反応膜を作動温度に上げ るまでのタイムラグに相当時間と手間がかかり、ヒーター専用のバッテリーも必要だったりと、結局そこまでするならガソリンエンジンのほうが遥かにマシとい うイタチごっこになってしまったり。


リチウムイオン電池というものが出てきました。

すわ、電気自動車の救世主か?ということで、各社、もちろん日産も「リーフ」ではこれを使うと公言しています。でも、先ほど書いたように、「入れやすく、 出しやすい」電池は科学的に不安定でありがちです。リチウムイオン電池の発火事件を思い出していただくのもいいでしょう。

じっくりバッテリーを使おうと思えば「ゆっくり充電する」のが一番いいのですが、人間そこまで気長にできていません。そこで、安全面を考えつつ急速充電をしようとすると「充電できた電気はごく少量」で、残りはだだ漏れだったり、という事になりがちなんだそうです。
こんなことをしていてはエコなんだか浪費しるだけなんだか分かったものではありません。



そんなわけで、ゴーンさん大丈夫か?
ああ言えばこう言う、某○フトバンクの孫○義みたいに成らないことを祈ります。

孫さん、iPhoneが売れないのは日本市場が閉塞的すぎるからだなんて、そんなこと言ってもいいのかなあ。だって、iPhoneが売れない一番の理由は「ソフ○バンクで売ってる製品だから」だなんて、みんな知ってる事じゃん。くわばらくわばら。

2 件のコメント:

コロパパ さんのコメント...

ガソリンの元の原油が将来枯渇するのは確実な訳ですよね。それもそんなに遠い未来じゃない。やはり電気自動車(そもそもの電気の発電は原子力?)か燃料電池車の開発を地道にする必要はあると思うんですけどね。

あたかも来年には一般的になるようなゴーンさんの発言は正しくありませんが。
まあ、ハイブリッドで出遅れた日産の焦りがそうさせるのかも知れません。

リチウム・イオンバッテーリの安全性がもう少し上がれば、電気自動車の実用化もそんなに遠い先ではないような気がします。
だいたい一般人の自家用車なんて1日に20Kmくらいしか走っていない訳ですから、夜間充電で1日分走れちゃいますよ。値段がどうなるかは分かりませんが。

hiro さんのコメント...

コメントありがとうございます。

次世代車の開発を否定するつもりはありません。現実に石油が枯渇へ向っているのも事実でしょう。

ですが、という話なんですが。

電気=モーターという動力源を使うのは結構なんですが、あれが優れているポイントは「ゼロ回転時のトルクが一番強い」というところです。これを発進時のみに限定して使うというのはアリだと思います。
ただ現状の「ガソリンエンジンを使わなくする」方向とはクルマにエンジンを積まない方式、というだけで、発電には石油・石炭を使ってる、エタノールの精製にも熱源は欲しい、水素の貯蔵・加圧等にもエネルギーを使う、という、いわば石油と言う非常に効率の高い、利用しやすいエネルギー源の手助け無しには成立し得ていない方式な訳です。原子力にしてもそうで、精製、廃棄(20年ぐらい冷却しながら貯蔵するんでしたっけ?)にかかるエネルギー量と生産できたエネルギー量とで釣り合いが取れるのか?ですとか。それ以前にウランの埋蔵量の枯渇の方が石油の枯渇よりはるかに先になる気がしますけどね。元々の量が少なかったはずですから。


それでもそれを投げ出す訳にはいかないでしょう、という論調はもっともです。でも、かつてのGDIのように、あまりにもそれに傾きすぎる、もしくはそれらへの期待度を膨らませすぎるのはミスリードじゃあないの?と思うだけです。現段階ではまだまだガソリンをそのまま使っているほうがロスは少ないはずです。

個人的な思いとしては欧州メーカーの首脳陣の言葉ではないですが「ガソリンエンジンの更なる高効率化とディーゼルエンジンの開発。その上で、次なる矢としてのハイブリッドや電気」というのが順当であろうかと思います。後はガソリンエンジンの使い方にも、もう一歩踏み込んでシステム構築を進めるべきとは思います。
でも、まだまだ一足飛びに電気というには時期尚早かと思います。

願わくば、石油の後押しがあるうちに滑り出しを終えるエネルギー源となってもらえるといいのですが。